2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17940
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
向山 和孝 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80743400)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | DHH上翅構造 / X線マイクロCT観察 / 3層構造 / 損傷進展解析 / 数値解析モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,ヘラクレスオオカブトムシ(以下,DHHと称す)の上翅構造に基づき,強度と軽量性を両立した複合材料の設計指針を構築することである.今年度の実施内容は以下のとおりである. (1)DHH上翅の全体構造およびキチン質の繊維配向角を解明するために,X線マイクロCTによる観察を実施した.前処理としてDHH上翅を希ヨードチンキに浸漬した.観察の結果,昨年の光学顕微鏡による観察と同様に,DHH上翅の断面構造は3層構成の積層構成であることを確認した.しかしながら,本観察ではキチン質の繊維配向角まで観察することが困難であり,チキン質の繊維配向の全容を明らかにするまでには至らなかった. (2)HDDの上翅構造の強度発現機構を解明するために,上翅構造を模擬した数値解析モデルの作成およびその数値解析モデルを用いた損傷力学に基づく損傷進展解析を実施した.数値解析モデルの試作として,陳らの既往研究におけるカブトムシ上翅構造の試験片採取角度0°,45°,90°,135°の積層構成に基づき4種類の数値解析モデルを作成した.なお,材料物性値には,陳らが用いたカブトムシ上翅の材料物性値が不明であるため,ガラス繊維およびエポキシ樹脂から求めた一方向材の等価物性値を使用した.荷重形態は一軸引張とした.解析の結果,損傷進展解析により得られた正規化引張強度を,陳らの既往研究におけるカブトムシ上翅の引張試験における正規化引張強度と比較したところ,その4種類の正規化引張強度の傾向が概ね一致した.したがって,作成した数値解析モデルは,HDDの上翅構造およびその挙動を模擬する数値解析モデルとして適用可能であると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
DHH上翅構造の力学的特性評価,数値解析モデルの作成および損傷進展解析については当初の計画通りであるが,DHH上翅構造におけるキチン質層の繊維配向角の全容解明まで至っていないことから,やや遅れていると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
(1)DHH上翅の全体構造およびキチン質の繊維配向角を解明するために,X線マイクロCT,光学顕微鏡だけでなく走査型電子顕微鏡も併用しながら,上翅構造の繊維配向角を把握する.X線観察においては,X線照射条件パラメータを変化させながら,高解像度の画像が得られる最適条件パラメータを模索する. (2)HDDの上翅構造の強度発現機構を解明するために,構築した数値解析モデルをHDDの上翅構造に適用し,強度発現機構の解明ならびに複合材料の設計指針を構築する.
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Research Products
(2 results)