2015 Fiscal Year Research-status Report
自動車乗員姿勢における頚椎の配置・彎曲状態が追突事故時の頚部傷害発生に与える影響
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15K17945
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Research Institution | Japan Automobile Research Institute |
Principal Investigator |
佐藤 房子 一般財団法人日本自動車研究所, その他部局等, 研究員 (10728281)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 交通事故 / 頚部傷害 / 追突 / 後突 / 乗車姿勢 / 脊柱アライメント / MRI / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
追突事故によって発生する頚部傷害への対策として,頚部傷害低減シートを搭載した乗用車が普及し始めている.頚部傷害低減シートは男性に対して効果的であるが,女性に対して効果が小さいことが明らかになっている.女性乗員に対しても有効な対策を講じるためには,頚部傷害を引き起こす追突事故時の頚椎間の相対変位が男女間で異なることについて,その原因を明らかにする必要がある.よって本研究では,その原因の一つと考えられている乗車姿勢においての脊柱の配列・彎曲状態(アライメント)が,追突事故時の頚椎間の相対変位に及ぼす影響を解明することを目的としている. 乗車姿勢における脊柱アライメントは,縦型オープンMRI装置を用い,乗車姿勢を再現した着座姿勢において,男女平均体型の被験者8名の頭部から仙椎までを撮影することで取得した.MRI画像から脊柱アライメント形状を抽出し,男女間で比較したところ,頚椎では女性は後彎またはストレート,男性は前彎の傾向を示し,胸椎は女性よりも男性においてより顕著な後彎を示す傾向にあることがわかった.なお,MRI撮影は医師の立会いのもと,インフォームドコンセント等実施の上,安全を確保した環境で実施した. 次に,乗車姿勢をとった女性平均体型の人体有限要素モデルの構築を行った.ベースモデルとして既存の成人女性5%ileモデルであるTHUMS AF05(トヨタ自動車株式会社)を活用し,成人女性平均体型へスケーリングした.このモデルへ縦型オープンMRIより取得した女性被験者平均の脊柱アライメントを導入し,乗車時の脊柱アライメントを再現したモデルを構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
縦型オープンMRI撮影実施までに,設備や撮影関係者の調整等に当初予定よりも多くの時間を費やさなければならなく,平成27年度中に予定していた頚椎のアライメントのパタン分析まで実施することができなかったため.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に取得したMRI画像を用い,頚椎アライメントのパタン分析を実施する.また,平成27年度に構築した女性平均体型人体有限要素モデルの追突事故時の挙動特性を,これまでに公表されている女性被験者による追突事故模擬スレッド実験結果と比較することにより検証する.特に頚椎の挙動に関しては,頚椎X線連続撮影による調査結果を参照し,検証を行う.次に,検証した女性平均体型人体有限要素モデルを用い,頚椎のアライメントのパタンをパラメータとした追突事故時の乗員挙動再現シミュレーションを実施し,頚椎アライメントが頚椎間相対変位に及ぼす影響について検討する予定である.
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Causes of Carryover |
MRI撮影に参加していただいた被験者の方々が,MRI撮影を実施した病院施設近隣に在住であり,交通費が想定していた金額よりもかからなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
頚椎アライメントをより精度よく抽出,分析するための画像処理ソフトの導入を検討する.それ以外の使途については当初の研究計画に従う.
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Research Products
(8 results)