2015 Fiscal Year Research-status Report
モーター鉄心の高透磁率化のための結晶方位制御法の開発
Project/Area Number |
15K17947
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺野 元規 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教 (90708554)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 機械工作・生産工学 / 金属生産工学 / 結晶工学 / 精密部品加工 / 構造・機能材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「1.バニシング加工によるモーター鉄心用結晶方位制御技術の確立」を目指し,厚さ1mmの純鉄板に円状のバニシング加工を施し,熱処理により静的再結晶を誘起させた.その後,結晶方位分析により再結晶粒の結晶方位を測定した.加工条件による静的再結晶への影響を定量的に調べるため,バニシング工具にはばね定数0.15kN/mmのコイルスプリングを用い,NCフライス盤を利用してプログラム制御することにより,加工荷重や加工量を制御した.加工後の断面の組織を観察すると,加工条件に応じたせん断変形が確認でき,本手法の有用性が確認できた.その後,600℃,アルゴン雰囲気にて熱処理を行い,静的再結晶を誘起させ,EBSD(後方散乱電子回折)分析により結晶組織の観察を行った.静的再結晶過程を詳細に調べるため,熱処理とEBSD分析を交互に行った.その結果,せん断変形が小さい場合は静的再結晶を確認できなった.これは,回復によりひずみエネルギーが消化されたためと考えられる.一方,ある一定以上のせん断変形を負荷すると,静的再結晶がせん断変形付与部より優先的に起こった.これは,バニシング加工により付与したひずみエネルギーが静的再結晶の駆動力となったと考えられる.次に,静的再結晶過程の時系列観察より,再結晶粒の成長過程を確認できた.これら結果より,バニシング加工によりせん断変形(ひずみエネルギー)を付与し,その後に熱処理を施すことにより,素材表面の結晶組織を制御できる可能性を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バニシング加工条件や熱処理が及ぼす静的再結晶への影響を示し,バニシング加工を結晶組織の制御に利用できる可能性を示すことができた.現在,再結晶粒の方位とバニシング加工条件との関連を分析中である.
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Strategy for Future Research Activity |
1.EBSD分析により定量的に加工ひずみ量を評価することにより,静的再結晶への影響を定量的に示す. 2.熱処理条件が及ぼす静的再結晶への影響を調べる. 3.数値シミュレーションにより、結晶方位の制御因子の解明する.
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Research Products
(4 results)