2015 Fiscal Year Research-status Report
電界共役流体の活発な流動を利用した微細複雑穴の放電加工
Project/Area Number |
15K17955
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
金子 健正 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (60708618)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電界共役流体 / 微細放電加工 / ハイスピードカメラ / 流速 / 電解研磨 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は電界共役流体による加工液流れ(ECFジェット)の観察を行なった.工具電極先端を円筒形状まま(曲率半径無限大)とした場合,無負荷電圧500V程度で極間に流れが認められた.この時,極間距離は0.1mmとしている.極間の流れはビデオカメラによる極間の観察結果により判断した. また,電界共役流体は電極の電界強度によって流速が変化することから,工具電極形状の検討を行なった.電解研磨により工具電極であるタングステン線先端を先頭加工し,先端の曲率半径が10,50,100μmの工具電極を作製した.これらの工具電極により極間の加工液流れを観察した結果,曲率半径が小さいほど流速は大きくなる傾向が認められた.さらに,加工液流れが認められる限界の無負荷電圧が小さくなることが分かった. 平成28年度は微細複雑穴加工を行うため,角型や十字型の工具電極を用いる.これらの形状は電解研磨によって加工するため,角型や十字型の穴加工が施されたマスク状の白金板電極が必要である.既設のワイヤ放電加工によりマスク加工を行なったが,薄板の白金に対し,要求精度の加工を行うことが困難であった.そこで,油仕様高精度ワイヤ放電加工機を導入した.これにより,予備実験段階であるがμmオーダーの精度で白金板電極の加工が可能であることを確認している. また,電界共役流体の微細放電加工特性の評価を予定しているが,より小さい放電エネルギーの加工が必須である.既設の微細放電加工機において放電エネルギーを小さく設定すると集中放電や短絡が生じやすいことが分かった.そこで,微細放電加工機を改良し,サーボ送り機構にピエゾステージを導入した.これにより次年度の実験評価を円滑に行うことが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ハイスピードカメラにより,加工中における極間の加工液流れの数値化を試みた.しかしながら,微小領域の観察においては,放電による気泡の発生によって観察視野が妨げられ測定が困難であった.一方,観察視野を拡大すると極間を十分に認識できず,加工領域における加工液流れの観察ができない.さらに,放電による光の影響も大きいため,観察条件も検討の余地がある. 以上のことから,加工中の加工液流れの数値化については今後の課題である.
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Strategy for Future Research Activity |
加工中の加工液流れの数値化については,流速の解析に必要な加工屑の補足と発生する気泡の関係に着目し,加工電気条件の検討を行う予定である.また,放電の光の影響を抑えるため,フィルタの導入も含めてハイスピードカメラによる加工液流れの観察条件も検討する. 電界共役流体を用いた場合,放電加工油や脱イオン水と比較して加工速度が大きく,安定して放電が継続することが予備実験より明らかになっている.平成28年度の研究計画である電界共役流体の微細放電加工特性の評価や微細複雑穴の応用については平行して実施する予定である.
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Causes of Carryover |
実験の進捗状況により,購入予定の消耗品を次年度に持ち越したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の早期に実験用消耗品を購入する予定である.
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