2015 Fiscal Year Research-status Report
複数添加剤を併用した低摩擦潤滑機構とその評価法に関する研究
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15K17963
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
大津 健史 久留米工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (10634488)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 境界潤滑 / 添加剤 / 低摩擦 / 有機モリブデン系添加剤 / 併用条件 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,境界潤滑領域での低摩擦の実現を目的に,各種添加剤を併用させた条件での低摩擦潤滑機構について調べる.使用する添加剤は有機モリブデン系添加剤,りん酸エステル添加剤を中心とし,各摩擦実験を行う.また,潤滑特性を評価する新たな方法についても提案し,実用面での応用に向けた潤滑特性のデータベース化も行う. 平成27年度は,試験機の開発,製作を行い,併用時の潤滑特性に関する基礎的実験を行った. 実験装置は点接触の転がり-滑り運動を行う摩擦試験機であり,摩擦面の一部を顕微鏡で直接観察できる構成となっている.これにより,実験時の各添加剤による反応膜形成と摩擦係数の変化が関連付けられ,摩擦低減機構の詳細な理解が実現される.また,様々な運転条件下での実験(一方向滑り,転がり-滑り)ができるため,添加剤の境界潤滑特性に対する運転条件の影響を調べることが可能となった.また,これまでの実験装置(ボールオンリング型一方向滑り試験,ボールオンプレート型面接触スピン試験)と併せることにより,接触状態の影響を調べることも可能となった. また,基礎的実験として,有機モリブデン系添加剤とりん系添加剤,硫黄-りん系添加剤,硫黄系添加剤の各種併用条件での摩擦特性を調べた.その結果,添加剤の組合せによって,摩擦特性が向上する場合と低下する場合があり,その組合せに関して整理を行うことができた.特に,有機モリブデン系添加剤と硫黄-りん系を組合せると,モリブデン系添加剤の持つ低摩擦特性と硫黄-りん系添加剤の持つ耐摩耗性を併せ持った潤滑性能となることが分かった.さらに,その整理を性能評価チャートにより行い,これにより低摩擦特性,耐摩耗性,極圧性といった複数の潤滑特性を総合的に評価することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は,当初の計画であった,点接触の転がり-滑り摩擦試験機を設計,製作することができ,また,添加剤併用条件下の摩擦特性に関する基礎的実験も行うことができた.よって,おおむね順調と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,前年度に開発,製作した各試験機を用いて,摩擦実験を行うことを計画している.運転条件の影響を調べる実験として,転がり,滑り,および転がり-滑りの条件での実験を行い,接触条件の影響を調べる実験として,点接触,面接触の条件での実験を行う.また,各種実験での摩擦係数,摩耗量,表面観察結果を基に,各併用条件下での潤滑性能を整理し,新たな性能評価方法についても検討を行う.さらに,摩擦面を電子顕微鏡(SEM)や化学分析(EDX,XPS)により観察・分析し,反応膜の形成状態(膜の組成,層構造)を調べ,摩擦面で起こった反応過程に関した考察を行い,摩擦低減機構の検討も行う. 得られた結果は,国内,および海外の学術会議で発表する予定である.
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Research Products
(1 results)