2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K17972
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
沖野 真也 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30711808)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 塩分成層流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
塩分成層流体中を鉛直降下する球まわりの流れをシャドウグラフ法とPIV法を用いて調べた。先行研究では、レイノルズ数が200程度で、フルード数がおよそ1よりも小さい場合において、球の背後に「ジェット」と呼ばれる軸対称鉛直流が出現することが実験・数値計算により示されてきた。平成27年度は、従来に比べ、低レイノルズ数(5<Re<400)・低フルード数(0.006<Fr<7)における室内実験を実施した。その結果、フルード数がある臨界値を下回ると、レイノルズ数が50程度であっても、ジェットの軸対称性が破れ、非定常で三次元的な流れが生じることを発見した。乱流化したジェットの速度分布をPIVによって計測したところ、軸対称ジェットに比べ、鉛直速度は大幅に小さい一方で、ジェットの幅は太いことが分かった。これは、ジェットの乱流化により運動量輸送が活発になったことを意味している。また、ジェットの上方には「ベル」と呼ばれる特徴的な構造が現れることが知られているが、低レイノルズ数・低フルード数の場合にはベルは生じない。これは、球によって引き起こされる内部重力波の波長が成層効果によって短くなり、そこに粘性が効くことによって、内部重力波が直ちに減衰するためである。 また、平成28年度に実施の研究の準備として、塩分成層流体中を鉛直降下する球まわりの流れの三次元数値計算プログラムに対してHPF(High Performance Fortran)によるノード間並列化を実装した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
低レイノルズ数・低フルード数に焦点を当てた室内実験により、軸対称ジェットの乱流化という新たな現象を発見することができ、これを数値的に検証するための計算プログラムの準備もできた。一方で、当初計画していたレーザー誘起蛍光法(LIF法)の高精度化は、MEMSミラーによる均一なレーザーシートの作成が難航しているため、達成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
室内実験においては、引き続きPIV法による速度場の測定を実施するとともに、LIF法を用いた密度場の測定により、乱流化したジェット内における密度拡散について調べる。 また、広範なパラメータ領域における三次元直接数値シミュレーションを実施し、先行研究にて実験によって観察された多様な流れ場を再現する。これにより、実験では捉えることの難しい速度場と密度場の三次元的構造を明らかにすることを目的とする。
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Causes of Carryover |
MEMSミラーを用いた一様なレーザーシートの作成が難航し、LIF法の実施に付随する実験装置の購入を控えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は数値計算に重点を置いた研究へと移行するため、計算機利用料に充てる予定である。
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