2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental study on Seebeck effect in liquid induced by thermophoresis
Project/Area Number |
15K17973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
辻 徹郎 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00708670)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 分子流体力学 / 熱泳動 / 熱電効果 / マイクロ・ナノ流体デバイス / 界面現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度までに構築した実験系を用いて,水酸化ナトリウム水溶液,ポリエチレングリコール水溶液,グリセリン水溶液中におけるポリスチレン微粒子の熱泳動を可視化観察と粒子追跡法により解析した.水酸化ナトリウム水溶液やポリエチレングリコール水溶液に関しては,濃度に対するに熱泳動の方向の依存性を調査し,溶液特性の重要性を明らかにした.本実験結果をまとめ,学術論文として発表した. また,初年度より開発を進めている熱泳動を利用したマイクロ流体デバイスについては,その設計開発が完成した.本デバイスにおけるポリスチレン微粒子とシリカ微粒子の熱泳動実験を,粒子表面の修飾状態と溶液中の界面活性剤の有無に着目し調査した.粒子サイズや表面修飾状態が同じであっても,粒子の種類や界面活性剤の有無により熱泳動の方向が変化することを蛍光観察によって明らかにし,粒子濃縮や分離技術への発展の可能性を示した.本実験結果をまとめ,学術論文として発表した. 理論的研究に関しては,H28年度までにナノ粒子の熱泳動に関する分子動力学計算を進めてきており,数値解析コードが完成している.H29年度はその結果をまとめ,学術論文として発表した.一般的に,ナノ粒子は温度が低い方向へ熱泳動力を受けるが,ナノ粒子を構成するレナードジョーンズ粒子と周囲流体を構成するレナードジョーンズ粒子間の相互作用ポテンシャルが純粋斥力ポテンシャルである場合,熱泳動力は温度が高い方向へ働くことを明らかにした. また,ブラウン粒子の熱泳動に関する統計数理モデルの提案を行った.気体分子運動論をベースとした数理解析により,非一様な温度場をもつ静止流体中のブラウン粒子の挙動について,漸近解析により移流拡散方程式を導いた.移流は熱泳動によって起こり,その方向が粒子の質量密度に依存することを明らかにした.本研究結果をまとめ,学術論文として発表した.
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