2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17974
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大森 健史 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70467546)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 濡れ / 数値流体力学 / 分子動力学 / Navier境界条件 / Cahn-Hilliardモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、不均一性のない滑らかな固体壁面上における動的濡れについて、チャネル内二相流のNavier-Stokes-Canh-Hilliard(NS-CH)方程式系による解析と分子動力学法による解析により、詳細に調べた。本研究においては壁面直上に形成される局所の動的接触角と既往の実験式を評価するための見かけの動的接触角を明確に区別している。NS-CH方程式系による解析から、接触線移動速度に対する局所及び見かけの動的接触角の依存性には定性的にも大きな差が見られ、特に、サイズ効果(ここではチャネル幅を変えたときの動的接触角の変化)の現れ方には顕著な差があった。このことから、両者を区別することの重要性が示された。既往研究においては両者はしばしば混同してデータ整理されたり、流動解析に用いられたりしているが、動的接触角のそのような扱いは不適切であることを示す重要な結論である。また、本解析により得られた見かけの動的接触角と接触線移動速度の関係は実験式によるものとは異なっており、このことは実在系において壁面不均一性の効果が大きいことを示唆している可能性がある。以上の解析は方程式系の有効性が既往研究により示されているパラメータ範囲で行ったものである。本研究では方程式系の検証そのものについても取り組み、分子動力学法を用いた解析から、移動接触線における壁面せん断応力とすべり速度の関係については既往研究を裏付ける結果を得た一方で、移動接触線近傍における粘性応力に対してはニュートンの粘性法則が破綻している可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では初年度から不均一性を有する壁面上での動的濡れを解析することにしていたが、均一面上での動的濡れに関する既往研究も全く十分ではなく、不均一面を議論する際の基準研究としても有用である均一面での調査を充実させることが重要であるとの認識に至った。均一面上での局所接触角と見かけの接触角の違いについての明確な結論が得られたことは、本研究にとって重要である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画から内容の変更はない。
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Causes of Carryover |
当初計画よりも大規模計算機使用量が抑制的であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大規模計算機使用費、論文掲載費、学会参加費などに使用する。
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Research Products
(7 results)