2015 Fiscal Year Research-status Report
微細構造を有する生体組織内のふく射輸送現象の解明に基づいた光学特性値の高精度計測
Project/Area Number |
15K17980
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤井 宏之 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00632580)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 生体内光伝搬 / ふく射輸送方程式 / 光学特性値 / 生体光イメージング / 微細構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,ふく射輸送方程式に基づいて,微細構造を有する生体組織内の光伝搬を明らかにした上で,in-vivoにおける生体組織の光学特性値を高精度に算出する逆解析アルゴリズムを開発することを目指している.生体内における弾道光から拡散光への遷移過程を明らかにした上で,ふく射輸送方程式と近似式を連結した,高速かつ高精度の光伝搬モデルを構築する.また,光学特性と組織構造特性の関係性を明らかにし,適切な生体組織モデルを構築する.構築したモデルに基づいて,逆解析アルゴリズムの高度化を図る.
平成27年度では,光源ー検出点間距離が約1mmの実測条件においても安定かつ高精度さらに計算効率に優れた光伝搬モデルの構築に向けて,3次精度の風上差分法,TVD-Runge-Kutta法,台形公式に基づいたふく射輸送方程式の数値計算アルゴリズムを構築した.また,強い前方散乱を示す生体組織モデル構築のため,ふく射輸送方程式における散乱位相関数の再規格化手法を開発した.ふく射輸送方程式の解析解と比較し,数値計算手法の妥当性を確認したとともに,従来の数値計算手法に比べて大幅に計算負荷を低減することが出来た.
また,弾道光から拡散光への遷移長さと時間スケールをふく射輸送方程式および光拡散方程式の解析解より評価し,ふく射輸送方程式の数値計算によって,妥当性を確認した.評価した遷移長さと時間スケールに基づいて,ふく射輸送方程式と光拡散方程式の連結モデルの高度を実現した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度計画に挙げた,ふく射輸送方程式における空間に対する差分法の高度化は半ばではあるが,位相散乱関数の再規格化が急務であることが数値解析の結果明らかになったため,再規格化手法を代わりに開発した.結果として,計算負荷を大幅に削減することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成28年度では,光拡散近似よりも高次の近似であるδ-エディントン近似(dE近似)について解析し,dE近似が成立する長さと時間スケールを評価する.その時空スケールに基づいて,ふく射輸送方程式とdE近似を連結した光伝搬モデルを構築する.また,随時,逆解析プログラムを構築していく予定である.
|
Causes of Carryover |
平成27年8月,ふく射輸送方程式の数値計算結果を解析したところ,正確な結果を得るには,当初の予定よりも多くのメモリが必要であることが判明し,必要なメモリの再評価を行う必要性があった.当初想定したスペックを有する計算機を2台購入する予定だったが,1台のみ購入しており,もう一台の購入を延期している.そのため,使用額が計画書と異なっている.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
計算機の代わりに,光測定のための実験器具(定盤,マグネットスタンドなど)や実験試料(生体模擬試料,農産物など)の購入を計画している.
|