2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K17997
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
原田 祐志 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00456691)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非線形振動 / 発電用風車 / 制振 / ロータダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度には,動吸振器による発電用風車ブレードの制振解析,および浮体式風車の安定性解析を行った. (1)動吸振器による発電用風車ブレードの制振解析では,一定速度で回転する風車ブレード単体に質量・ばね・ダッシュポッドから成る動吸振器,または振子型動吸振器を取り付けた系の運動方程式を求めた.次に,数値計算によりスイープ励振による共振曲線を描き,動吸振器の制振性能について調べた.さらに,風車の回転速度域に現れる複数の共振ピークにおいて,近似的に定常解を求めた.この解析により,以下の結論を得た.(a)一つの動吸振器をひとつの共振ピークに同調されることにより,複数の共振点における振動を抑えることができる.これは,系の係数励振項から派生する様々な振動動数成分の元となる成分を動吸振器により小さくできるためである.(b)振子型動吸振器も一つの制振装置により同様に複数の共振ピークを抑制できる.ただし,動吸振器とはその制振原理が異なる可能性がある. (2)浮体式風車の安定性解析では,浮体式風車の浮体,タワー,ナセルが剛に連結され,浮体の波による運動とブレードの支持点の運動が一致すると仮定することにより,浮体式風車のブレード単体にモデルを簡略化した.この系の運動方程式は,波の影響,およびブレードの回転に伴い現れる係数励振項をもつ.そこで,係数励振振動において現れる不安定領域について調べ,数値計算により共振曲線,および時刻歴波形を求めた.この解析により,以下の結果を得た.(a)風車ブレードの回転と波の励振作用により,風車ブレードには複数の振動数成分を含む不安定振動が発生する.(b)共振曲線はブレードの復元モーメントの非線形性により漸軟形を示し,ブレードの回転速度が大きくなるにつれてその性質は顕著となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初の計画では,実験装置を製作し,実際に風車に発生する振動について,解析の有効性を調べる予定であった.しかし,実験では鉄の板を回転させる実験を行うため,非常に危険を伴う.このため,コンクリートを用いたカバーの設計,および製作などが必要となり,実験準備が遅れている.また,ハイブリッド型洋上発電用風車のモデル化・風車ブレードの面内振動に関しても,上記の遅れに伴い,研究が進められていない.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,平成27年度に予定していた実機の作製を行う.平成28年度は,複数の学生に対して風車振動に関する実験を卒論のテーマとし,締め切りを設けることで,必ず年度内に複数の実験を行えるようにする.
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Causes of Carryover |
実験装置の製作,および実験が遅れているため,製作費用,および測定用のセンサの購入が済んでいないため,当該年度の使用額が少なくなっている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験装置の製作と測定用センサの購入に使用する予定である.また,必要であれば新たなモータの購入やその制御装置に使用する.
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Research Products
(1 results)