2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K18001
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
菅野 貴皓 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (50714234)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 手術支援ロボット / 鉗子マニピュレータ / 空気圧駆動 / ワイヤ駆動機構 / クランク機構 |
Outline of Annual Research Achievements |
内視鏡手術などの低侵襲手術は,従来の開腹手術よりも患者の傷口を小さく抑えられるため,術後の回復が早く審美性に優れるという利点を有する.一方で,低侵襲手術は外科医に高度な技能を要求する手術であるため,これらを支援するためのロボットシステムが開発されている. 従来の手術支援ロボットは,患者の体外に4自由度,患者の体内に手首の2自由度とグリッパを搭載する機構である.しかしながら,このような機構では鉗子の挿入点を中心に体外の駆動機構が大きく動くために術者や助手,さらには他のアームと干渉するという課題がある. 一方,体内に4自由度を有する鉗子マニピュレータ,すなわち体内で動作する肘関節と手首関節を備えたロボット鉗子は,体外の動作を抑えることが可能である.しかしながら,従来の4自由度鉗子マニピュレータはモータ等が含まれる駆動部と体内に挿入される鉗子部を切り離すことが難しく,駆動部と鉗子部の間に挟む滅菌アダプタと呼ばれる部品の機構が複雑なものとなっていた. 本研究では,上記の課題を解決するために,洗浄が可能な鉗子部と洗浄が不可能な駆動部を容易に着脱することが可能な腹腔内4自由度鉗子を開発する.アクチュエータとして直動の空気圧シリンダを採用し,磁力を用いて駆動部と鉗子部を結合する方式を提案した.磁力では鉗子の関節を駆動するワイヤを引く力が不足することから,クランク機構を用いて空気圧シリンダを押すとワイヤが引かれる方式とした.これにより,体内4自由度鉗子のように多数のアクチュエータを持つシステムにおいても着脱が容易でワイヤの駆動力を十分に伝達できる機構を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画においては,駆動部と鉗子部の結合箇所を減らすことを目的として,鉗子部の両端に関節を設け,それらをワイヤを結合して間接的に駆動力を伝達する方式を採用した.簡易な鉗子を試作して検証したところ,この方式ではワイヤの伸びなどの影響により先端に十分な駆動力が伝達できないことが確認された.そこで,磁力とクランクを用いる方式に変更し,着脱の手間が当初の方式と同程度であり,かつワイヤ張力が十分に伝達可能な鉗子マニピュレータを実現した. また,ニューラルネットワークを用いて手術ロボットの逆運動学が解けることが確認できているが,現時点では実用に向けて精度を大きく向上させる必要があると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
体内4自由度鉗子は,体内に肘関節まで挿入する必要があるため,体内の浅い領域での作業ができないという課題がある.今後は,これまでに開発した機構を拡張し,体内で伸縮できる機構を搭載した体内5自由度あるいは6自由度の鉗子を開発する予定である. また,ニューラルネットワークを用いた逆運動学解法については,近似誤差をさらに学習させる方式や,ニューラルネットワークによる解を初期値とする反復計算を導入するなど,精度を向上させるための手法を多方面から検討する.
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Causes of Carryover |
ロボットの機構を変更し,部品にかかるコストが僅かに減少したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試作する予定のロボット鉗子の性能を向上させるために使用する予定である.
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