2015 Fiscal Year Research-status Report
ヒト皮膚の張力膜構造を模した柔軟外装の子供アンドロイドへの全身実装と機能評価
Project/Area Number |
15K18006
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石原 尚 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90615808)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 柔軟ロボット被覆 / 繊維強化ゲル / 機械特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊維膜とゲルを組み合わせた新たな方式のロボット外装の開発と機能評価のため,以下に取り組んだ. [張力膜被覆試片の作成]張力膜被覆の構造と材料・官能特性の関係を明らかにする実験の実施に向け,被覆の主材であるエラストマゲルの硬度や厚み,また主材を補強する繊維布を様々に変えた試片を作成した.ゲルは,白金触媒反応で硬化するシリコーンゴムに溶媒を加えることで作成した.繊維布の候補として,ストレッチチュールやパワーネットソフトなど,線維自体は高い弾性率を備えるが,編み方の工夫によって伸縮性が与えられた素材を採用した.繊維布の接合には,その伸縮性を妨げないように,繊維布の接合面を重ねた上で硬化前のエラストマゲルを塗布して硬化させる方式とした. [被覆の材料特性試験]立方体形状のゲルの全面を繊維布で密着被覆した試片に対して,圧縮及び衝撃試験を実施し,繊維布の弾性率の違いによる試験結果の違いを調査した.その結果,ゲルの繊維強化によって歪に応じた非線形剛性の特性が付与されること,またその非線形性の強さは繊維布の弾性率の非線形性に依存すること,また,繊維強化によって広い範囲の大きさの衝撃エネルギーに対して衝撃分散効果が得られることを明らかにした. [被覆の官能特性試験]ゲルを用いて作成した柔軟被覆を備えるコミュニケーションロボット全体の印象が,その被覆の触感の違いによってどれほど影響を受けるのかを調べるため,ロボットの被覆の触感と全体の印象を評価させるアンケートを行った.アンケート結果を因子分析,分散分析,及びパス解析にかけた結果,触感と全体の印象の複数の因子の間に有意な相関が見いだされ,被覆触感の印象によって全体の印象も変えられうることが示された. [被覆のモデル作成と機能解析]立方体形状の被覆試片の圧縮及び関節上での曲げに対する抵抗力を表現する静力学モデルを構築し,厚みや幅の変化の感度を調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた,(1)試片作成法の確立,(2)機械試験及び官能試験,(3)ロボット実装法の考案については順調に進めることができた.ただし,(4)部位に応じた構造パラメータの決定までには至らなかった.その代わり,28年度に計画していた力学モデル作成に着手した.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的な被覆の作成方法や,衝撃分散特性や非線形剛性の発揮のメカニズムは概ね明らかにできた.28年度は,実際に動作するロボットへの全身実装をする上での問題を整理し,解決策を提案し,そして実際のロボット上で被覆の機能を評価する実験を実施する.
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Research Products
(5 results)