2015 Fiscal Year Research-status Report
マトリックスコンバータ技術によるハイブリッド自動車の高効率化
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15K18016
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
春名 順之介 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (40609369)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マトリックスコンバータ / 空間ベクトル変調 / 入力電流制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
HEV駆動用交流/交流電力変換器システムでは,マトリックスコンバータの入力はエンジン発電機が接続される。このとき,マトリックスコンバータの入力電流(=エンジン発電機の出力電流)はできるだけひずみのない波形に制御したほうが,システム全体を安定に制御できる。そこで,本年度は,マトリックスコンバータの入出力の電圧・電流の状態からどのような波形ひずみが発生するかを理論的に計算し,その後,発電機側の電流ひずみを最小とするマトリックスコンバータの波形制御を開発した。申請者は以前より空間ベクトル変調を用いたマトリックスコンバータの入力電流ひずみ低減手法を研究しており,本年度の研究成果として,マトリックスコンバータがある瞬間に取り得る全出力パターンを導出した。マトリックスコンバータの入力電流ひずみの低減を考えた場合,マトリックスコンバータの入力三相のすべてが出力の三相のいずれかに接続される場合とそうでない場合を考えて制御を分ける必要があり,これらを考慮すると,出力パターンは全部で200通りを越える組み合わせとなる。本年度はこのすべてのパターンを用いてマトリックスコンバータの動作をシミュレーションにより確認し,これまでに入力電流ひずみが低減できる手法である従来法と比較して,入力電流総合ひずみ率(THD)が従来法の74.7%から58.8%と低減に有効であることを確認した。 しかし,一方で,現状では入力電流のひずみを最適化するためには莫大な演算時間を要しており,実用的ではないため,全出力パターンの中から入力電流指令の大きさが小さい領域に着目して,出力パターンを絞る検討も行った。これにより,全出力パターンから8パターンまで絞ることができ,マトリックスコンバータの実験装置製作に当たって必要な演算量低減のひとつの解決策を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究内容については,研究実績の概要にも書いたとおり,マトリックスコンバータがある瞬間取り得る出力のパターンが200通り以上におよぶ。この中から常にマトリックスコンバータの入力電流ひずみが最も小さくなるパターンを選択しなければならないが,マトリックスコンバータの入出力の電圧,電流は交流量であるため時々刻々と変化する。また,本研究で提案する空間ベクトル変調は,入力力率と出力力率によって選択しなければならないパターンが変化することから,想定しなければならないパターンの選択が膨大な数に上り,現状では実験装置に適用することが困難である。そのため,特に入力力率と変調率(通常のマトリックスコンバータの制御では出力電圧/入力電圧の比を示すが,提案法では入力電流/出力電流の比で考える)に着目し,特に変調率が0.5以下の状態で検討し,出力のパターンを8通りまで絞り込めた。しかし,変調率が0.5以上の場合の選択量は依然として大量のパターンが存在し,その組み合わせの絞り込みと入力電流ひずみの低減への影響を調査しているが,現在までに完了していない。 一方,マトリックスコンバータの実験装置組み立てのための制御装置,および,実験装置の検討も行ってきた。ここでは,マトリックスコンバータの動作に必要な転流動作の組込が課題となっている。申請者はマトリックスコンバータの実験装置を組み立てた経験と実績を持っているが,特に転流動作にも関係する制御装置に関しては,申請者の所持するものが古い点,提案法の演算負荷が増大してきた点を考慮して新しく制御装置を組み立てる必要があり,そのためのFPGAボードの開発が遅れてしまっている。 以上2点より,本年度の実験装置立ち上げが間に合わなかったことから,区分をやや遅れていると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,引き続きマトリックスコンバータの空間ベクトル変調の開発を行い,変調率が高い場合の制御を完成させるとともに,FPGAによる制御ボードに実装する。併せて,転流方式もFPGAに実装し,制御装置を完成させる。その後,マトリックスコンバータの実験装置を製作し,マトリックスコンバータの立ち上げを行う予定である。マトリックスコンバータの設計に必要な仕様は本年度中に完了しているため,次年度の予算を使って製作することができる。ここで,マトリックスコンバータは部品間の配線の長さが極力短くすることが大事なので,回路CADを用いてプリント基板をデザインし,マトリックスコンバータの部品レイアウトと配線長を最適化した実験装置を製作する予定である。 一方,エンジン発電機を接続した場合のマトリックスコンバータの動作についても検討する。まずは,マトリックスコンバータの入力にあえて周期的な変動を与えた場合の動作をシミュレーションにて検討し,できるだけ平衡三相正弦波を出力可能な制御を検討する。その後,発電機のリアクタンスの影響を考慮するために,電源のリアクタンスを増加して,これまで申請者が検討してきた発電機の制御法を適用して動作を確認する。 エンジン発電機の影響に関しては,当初はMGセットによる発電機を使用した実験を行うことを検討してきたが,エンジンの周期変動を模擬するのが困難な可能性が出てきた。従って,インバータによる変動電源を使って実験しなければならない可能性がある。その場合は,マトリックスコンバータ回路の仕様を利用して,インバータの回路を製作し,インバータの出力を電源として実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
物品費として計上した測定装置に関して当初予定した予算を使用しなかった理由として,申請者の研究室に測定装置が新たに導入され,その測定装置が当該研究にも適用可能であったことがあげられる。一方,申請予算の都合上,当該研究で測定を予定していた電流の測定に関しては,当初は性能がそれほど高くないものを購入予定であったが,上記理由により予算の利用方法を改善することができるようになったため,当該研究で本来測定すべき電流の高調波成分が測定可能である電流プローブを購入した。 一方,研究の進捗が遅れてしまったことから,実験装置の本格的な製作が追いつかなかったため,実験装置の製作に必要な部品の購入費については使用することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由により,実験装置の製作として当初予定していた予算を使用することができなかったが,次年度は実験装置の製作と立ち上げを行い,シミュレーション,および,実験装置にて,本研究の成果を検証する。このために,次年度の予算を合わせて予算を使用することで,研究に必要なマトリックスコンバータの実験装置を製作し,研究の進捗の後れをとりもとすべく邁進する予定である。
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Research Products
(2 results)