2015 Fiscal Year Research-status Report
太陽光発電インバータと系統側機器の協調による電力系統過渡安定化理論の開発
Project/Area Number |
15K18017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河辺 賢一 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教 (60634061)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 電力系統 / 太陽光発電システム / 二次電池 / 緊急制御 / 過渡安定性 / 短時間電圧安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
系統事故時の短時間電圧安定性に対し、太陽光発電システム(PV)の連系インバータを利用した安定化手法として,常時進み力率運転と新型DVS(dynamic voltage support)機能の付加の二つの方法を開発し,多機電力系統を用いた計算機シミュレーションによってその有効性を明らかにした。 常時進み力率運転による方法では,系統平常時にPVを進み力率で運転することで,平常時電圧を維持するために並列される調相設備容量を増やし,PV運転停止時に電圧安定性の低下を緩和できることを明らかにした。 新型DVS機能の付加による方法では、電圧上昇幅の最大化を目的とした最適化問題の解に基づいて有効電力と無効電力の双方を出力することによって、無効電力のみを出力する従来の電圧安定化手法(DVS:dynamic voltage support機能)と比較して、より高い安定化効果を得られることを明らかにした。 上記の手法によって短時間電圧安定性の安定化が可能になることが明らかとなったため,次に,同期発電機群の過渡安定性に対して,系統設置型の大型蓄電池を利用した安定化手法を検討した。先行研究で開発したWAMS(wide area measurement system)による制御手法を,PV連系系統に適用可能な手法に拡張するため,従来手法で利用を想定した発電機の位相角情報に加え,PVが連系された負荷地域における電力・電圧等の情報を新たに利用することで,一定の安定化効果が得られることを確認した。ただし,連系インバータによる上記の安定化手法と併せて適用した場合の安定化効果については,引き続き検討を続ける予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,PVの連系インバータによる過渡電圧安定度の安定化手法の開発を目標としていたのに対して,インバータを利用した二つの安定化手法を確立した。提案手法は,一負荷無限大母線系統,多機電力系統のそれぞれの系統に対して適用し,数値シミュレーションによってその有効性を明らかにした。数値シミュレーションのためには,負荷の誘導機特性やPVの連系インバータの動特性を模擬可能な独自の解析ツールを開発した。 また,系統用二次電池による過渡安定度の安定化手法について,先行研究で開発したWAMSによる制御手法をベースとして,開発を進めた。PVが連系された負荷地域の電圧・電流情報を利用することで,PV連系系統にも適用可能な手法を開発し,数値シミュレーションによってその有効性を確認した。 上記の成果は,研究目的に沿って行われており,計画通りに達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
過渡安定性の安定化に対して,系統設置型の大型蓄電池による安定化手法の開発を引き続き推進する。開発した安定化制御システムを、連系インバータによる既提案の安定化制御システムと併せて適用することで、同じ時間領域で進展する過渡安定性と短時間電圧安定性の安定化効果を明らかにする。負荷地域に連系されたPVインバータは電圧安定化に,基幹系統に設置された二次電池は発電機の過渡安定化に利用することを想定するため,それぞれの安定化制御システム間で相互干渉が生じる可能性がある。相互干渉による安定化効果の低減がないか,誘導機負荷の加速状態やエネルギー関数を指標として検証する。二つの制御システムの間で干渉が生じる場合には、蓄電池の制御システムにおいて連系インバータ周辺の電圧・電流の情報を反映することで、それら制御システムの協調を図る。
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Causes of Carryover |
平成27年度にIEEE ISGT Europeへの参加を予定していたが,会議の開催が中止となったことや,計算機が予定より安く購入できたため,次年度への繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用予算は,平成28年度に開催予定のIEEE PES General Meetingやその他の国際会議への参加旅費に充てる。
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