2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18029
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
米津 大吾 関西大学, システム理工学部, 准教授 (20368202)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 渦電流場有限要素解析 / 等価回路計算 / ルンゲ・クッタ法 / FDTD解析 / コイル定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非接触給電装置の用途ごとに最適なコイル用導線の材質・種類、送受電コイルの構造や電源周波数の組み合わせを自動的に求める手法を開発することが目標である。このためには幅広い周波数帯域において妥当な非接触給電装置の解析結果を得る必要がある。 本年度の研究において、①数十kHz帯、②数百kHz帯、③数MHz帯の非接触給電装置(送受電コイル)を試作し、入出力電流・電圧・電力や電力伝送効率の測定を行い、渦電流場有限要素解析(あるいはFDTD法)と等価回路計算(あるいはルンゲ・クッタ法)を組み合わせた自作の解析手法による結果と比較した。 ①数十kHz帯の非接触給電装置に関しては、実験結果と解析結果がよく一致することを示すことができた。また、電源と送受電コイル、負荷のみで回路を構成した場合には力率が悪い。各コイルに直列、あるいは並列にコンデンサを挿入することで力率、更には電力伝送効率が改善されることが知られているが、最適なコンデンサを計算で予測することに成功しており、この成果は国際会議(JSST2015)や電気学会電力・エネルギーフォーラム(第25回電磁界数値解析に関するセミナー)で講演している。②数百kHz帯の非接触給電装置に関しては、400kHz以下の周波数においては①と同様に実験結果と解析結果がよく一致し、力率や効率を改善するコンデンサの値を精度良く求めることができている。400kHz以上の周波数帯域や③数MHz帯の非接触給電装置に関しては、入出力電流・電圧・電力や電力伝送効率の実験結果と解析結果の差異は大きかった。ただし、有限要素解析やFDTD解析で求めたコイル定数はLCRメータで測定した結果とよく一致している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
様々な用途の非接触給電装置を設計するための解析手法を提案するためには広い周波数帯域において実験結果と解析結果がよく一致しなければならない。当初の予定においては、 ①渦電流場有限要素解析、あるいはFDTD解析によるコイル定数の高精度計算、②①で求めたコイル定数を代入した等価回路による高精度計算が可能と考えていた。上記①に関しては、いずれの周波数においても実験結果と解析結果はよく一致することが実証できた。しかし、上記②の等価回路による解析結果は400kHz以上になれば実験結果との差異が大きくなり、等価回路を見直す必要があると考えられる。このことは、当初に予定していないことであるが、この問題を解決しなければ、実験結果と乖離した計算結果となり、設計の現場で使用に耐えれるものにはならない。このため、当初の予定よりも若干遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の【現在までの進捗状況】において、非接触給電装置の等価回路の見直しが必要と考えられたが、この原因は高周波帯域では浮遊容量が無視できないためと考えられた。このように考えた背景は、実際に回路にコンデンサを挿入した解析を行うことで解析結果が実験結果に近づくことを確認しているためである。平成28年度上半期においては浮遊容量を考慮した等価回路、あるいは浮遊容量を求める渦電流場有限要素解析やFDTD解析プログラムを作成し、高周波数帯域での解析精度を向上させる予定である。その後に、当初の予定通り、用途ごとに最適なコイル用導線の材質・種類、送受電コイルの構造や電源周波数の組み合わせを求めることを試みる予定である。
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Causes of Carryover |
前述のように、幅広い周波数範囲における非接触給電装置の基本的な構成による実験結果と解析結果の整合性を図るために時間を取ったため、実用的な検証に用いる蓄電池や整流回路部品の購入が遅れたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
幅広い周波数範囲における非接触給電装置の基本的な構成による実験結果と解析結果の整合性を図ると同時に実用的な検証に用いる蓄電池や整流回路部品の購入を早急に行う予定である。また、当初の予定にある非接触給電装置の最適化計算に使用するパーソナルコンピュータを購入する予定である。
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