2016 Fiscal Year Research-status Report
有機EL・太陽電池の発光・発電面内の劣化に至るキャリア挙動の計測手法の確立
Project/Area Number |
15K18037
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
貞方 敦雄 九州産業大学, 工学部, 助手 (50725257)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 有機EL / 有機太陽電池 / 顕微光励起インピーダンス分光測定 / 電界誘起光第二次高調波発生測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機EL素子や有機太陽電池は、発光面・受光面内における発光・発電に至る素過程での電荷挙動が、その素子特性に大きく寄与しています。ゆえに、実空間における電荷挙動の計測や実用化に向けた劣化現象の解析が必要となります。しかし、未だにその解析手法は確立されていません。そこで、本研究課題の目的は、光学的測定手法と電気的測定手法の利点を備えた電荷挙動の測定手法を提案し、実空間における電荷挙動を測定及び解析することで素子劣化現象の要因を明らかにすることです。 平成28年度は、前年度より構築しているレーザー誘起光電流測定装置を用いて有機EL等の面内光電流測定に取り組みました。また、有機太陽電池や有機EL素子の作製手法の一つである塗布法による成膜が行えるようにグローボックスやスピンコーターを用いたデバイス製作装置の構築を行いました。 研究成果(学会発表)について、顕微電界誘起光第二次高調波発生測定法とレーザー誘起光電流測定法を用いた有機ELの発光面内における劣化挙動について国際学会The 16th International Discussion and Conference on NICE deviceおよび12th International Conference on Nano-Molecular Electronics (ICNME2016)で口頭発表致しました。また、電気学会 誘電・絶縁材料研究会でも口頭発表致しました。 研究成果(論文)については、電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌) Vol. 137 No. 2 pp.128-134に「EFISHGおよびLBIC測定を用いた有機EL素子の顕微解析装置の開発」として掲載されています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自己点検により進捗状況をやや遅れていると判断しました。要因の一つに、実験装置等の研究体制の整備や所属大学の学務との兼ね合いで研究課題に対するエフォートが低下していることが原因と思われます。その様な現状でも、研究実施計画に書きました顕微光励起インピーダンス分光測定装置の構築に向けて、キセノン光源とモノクロメーターを用いたレーザー誘起光電流測定装置を作製し、シリコン多結晶太陽電池をサンプルに動作確認等を行いました。前年度の研究の推進方策の一つとして有機EL素子の電流-電圧-発光強度を測定することができる測定装置も構築しました。また、素子作製に必須である有機真空蒸着器や金属真空蒸着器についても膜厚センサーの補正を行い任意の有機薄膜の膜厚で積層素子を作製できるように致しました。進捗状況の改善策については、今後の研究の推進方針で書かせて頂きます。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下の内容に重点を置いて研究を進めて行きたいと考えています。 (1)顕微光励起インピーダンス分光測定装置の構築 光励起インピーダンス分光の要となる微小電流測定装置であるロックインアンプとこれまでに構築したレーザー誘起光電流測定装置を組み合わせて新たな測定系の構築を行います。 (2) 素子作製手法の改善 本研究室で保有している有機真空蒸着器は蒸発源が一つしか無いため真空を破らずに2層や3層などの多層素子を作製することはできません。有機成膜時に積層界面に酸素や水分が付着することが劣化に繋がることが知られており素子特性を向上させるためにも2源蒸着源に改良を加える予定です。
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Causes of Carryover |
平成28年度の計画に沿って必要な物品や消耗品を購入し、また、学会発表等で旅費として使用しましたが、結果として余剰金が発生しました。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、平成29年度の物品及び消耗品購入に充てたいと考えています。
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Research Products
(4 results)