2015 Fiscal Year Research-status Report
窒化物半導体マルチサイズディスクアレイによる準レーザ特性発光素子の開発
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15K18048
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
光野 徹也 静岡大学, 工学部, 助教 (20612089)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 窒化物半導体 / マイクロディスク / ウィスパリングギャラリーモード |
Outline of Annual Research Achievements |
電子線ビーム描画、反応性イオンエッチング、そして水素雰囲気下の熱エッチングの手法を組み合わせることによって、窒化物結晶によるマイクロディスク構造を作製する技術を開発した。これによりウィスパリングギャラリーモードと呼称される微小光共振モード(光を長く留めることができる機能)を有するマイクロディスクなどの極微細構造を自在に集積することが可能となった。これは目的とするマイクロディスクを用いた光デバイス実現に必要な技術の一つを開拓したことを示している。 GaN(窒化ガリウム)薄膜(数マイクロメートル程度)結晶上のAlGaN(窒化アルミと窒化ガリウムの混晶)薄膜(200nm程度)の結晶を試料作製用基板とした。この基板上に二酸化ケイ素薄膜を堆積した。続いて、電子線ビーム描画の手法にによりこの基板にマイクロディスクパターンを描画し、これをマスクとして二酸化ケイ素薄膜をエッチングすることでマイクロパターンを二酸化ケイ素薄膜に転写した。この二酸化ケイ素薄膜をマスクとしてAlGaN薄膜を下層のGaN薄膜が露出するまで反応せイオンエッチングによりエッチングした。これによりAlGaNマイクロディスク構造をGaN薄膜上に作製した。本試料を1000℃程度で水素雰囲気下でAlGaN下層のGaN薄膜のみを選択的にエッチングすることによりAlGaNマイクロディスクがGaNナノ支柱によって支えらる傘あるいはキノコのような形状を作製した。これにより、AlGaNマイクロディスクの大半の部分が空気中に存在することになり、光が十分にAlGaNマイクロディスクに局在できる。 AlGaNマイクロディスクを光励起したところ、発光スペクトル中にレーザ発振と考えられるシャープなピークを確認した。これは、ウィスパリングギャラリーモードにより光励起レーザ発振現象を示していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的とする発光デバイスを作製するに必要不可欠な基盤技術である「窒化物半導体結晶によるマイクロディスク作製技術」の開拓が概ね完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
開拓した「窒化物半導体結晶によるマイクロディスク作製技術」を用いれば、マイクロディスクの形状や配置を自在に制御することができる。これまで我々の研究や外部研究機関の結果を含め、ナノ~マイクロサイズの構造内でのウィスパリングギャラリモード微小光共振モードの特性とその形状との関係を系統的にしらべた報告例は我々の知り得る限りない。そこで、マイクロディスクをベースとして発光デバイスの開拓に向けた次のステップとして、これら関係をマイクロディスクの幾何形状や大きさなどのパラメータを基にしらべる。また、発光デバイス実現に必要な集積化という観点より、マイクロディスク相互位置関係などに起因した光特性などの検討をも進める。
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Research Products
(2 results)