2015 Fiscal Year Research-status Report
検出原理の理解に基づく高感度化とMEMS技術による半導体CO2センサの集積化
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15K18049
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
岩田 達哉 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80735639)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 半導体ガスセンサ / CO2センサ / MEMSホットプレート |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、①センシング特性に対するSnO2の膜厚の影響および②MEMSマイクロホットプレートの設計と作製プロセスの検討を行った。 ①については、センシング材料であるLa2O3/SnO2積層構造のうちSnO2の膜厚を変化させ、CO2曝露に対する特性変化を評価した。La2O3層の抵抗率はSnO2層に比べて非常に大きく、ほぼ絶縁体とみなせることが分かった。また、SnO2の膜厚が小さくなるほど、CO2センシング感度が向上することが明らかとなった。以上は、La2O3/SnO2積層構造において、SnO2が主な電流輸送層になっており、La2O3がCO2感応層(レセプター)、SnO2が抵抗変化層(トランスデューサ)として機能していることを示す結果である。また、膜厚制御による特性向上の可能性を見出した。 ②については、有限要素シミュレーションにより、300℃以上に加熱可能なブリッジ型マイクロホットプレートの構造を設計した。さらに、センサ-駆動回路一体化プロセスに向け、マイクロホットプレートを構成する薄膜材料の応力制御に対する要求を緩和すべく、SU-8によるブリッジの補強を提案した。本材料を用いたメンブレン型のテストデバイスでは、応力耐性の向上が見られた。一方、100um×100umの面積を有するマイクロホットプレートを約300℃に加熱するのに必要な消費電力は、シミュレーションにから10数mWであることがわかり、一般的なディスクリート型のガスセンサに比べ1桁小さくすることが可能であることが示された。以上より、SU-8補強層を用いた本構造の有望性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該研究の目的はマイクロホットプレート上CO2センサ一体化デバイスの作製およびこれにおける400 ppmなる感度の達成である。センサ・マイクロプレート一体化に関しては、SU-8補強層の提案により、ホットプレートを構成する薄膜の応力制御に対する要求が緩和された。これにより、プロセスが大幅に簡略化でき、現在マイクロホットプレートのプロトタイプデバイスを作製中であり、当初の予定以上に進展している。一方、センサ感度に関しては、評価系の構築に当初の想定以上に時間を要したため、感度向上の指針を得るためのメカニズム評価は当初の計画には達していない。しかしながら、評価用デバイスの作製技術は確立済みであり、さらに、膜厚制御による特性向上の可能性が示唆されたことも踏まえれば、28年度中に目標の感度は達成できると予想する。 以上より、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロホットプレートに関しては、現在作製のデバイスを完成させ、提案する構造で300℃以上の加熱が可能であることを実証する。300℃以上の加熱が困難な場合は、SU-8の形成パターンなど、デバイス構造を検討し直し、その後、センサ材料との一体化プロセスに取り組む。 感度向上に関しては、膜厚制御による感度向上の可能性が得られたため、LSIプロセスに取り入れづらい陽極酸化アルミナの導入は見送り、まず、膜厚の制御による感度向上を検討する。SnO2に加え、La2O3の膜厚も変化させたときの特性を評価し、最適な膜厚を見出す。一方で、La2O3/SnO2の積層構造においてガス曝露箇所を制御することでも感度向上に取り組む。一方で、金属-La2O3-SnO2積層からなるMIS構造を作製し、センサ材料のCO2曝露に伴うフラットバンドシフトなどの評価と並行して行う。これにより、感度向上のみならずデバイス物理に関する知見を得、感度向上の指針を提示することも目指す。 その後、最適化したセンサ構造をマイクロホットプレート上に作製し、マイクロホットプレート上において目標感度を達成する。
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Causes of Carryover |
特性評価用雰囲気制御チャンバーへ導入するプローバの拡充など、評価系の構築に必要な物品に関して、当該年度の残額では購入しきれない物品の購入予定が発生し、翌年度分の金額と併せて購入することとした。また、本年度の成果発表を、次年度開催の学会で行うこととなり、旅費充当分を翌年度に繰り越して使用することとしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
センサ・ヒータ一体化デバイスの評価を可能とするため、プローブアーム、真空計の購入等、特性評価システムの拡充を行う。また、評価用ガスやスパッタターゲットなどの消耗品の購入、および成果発表のための旅費に使用する予定である。
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Research Products
(2 results)