2016 Fiscal Year Research-status Report
Si-On-Quartz基板をプラットホームとした生化学分析デバイスの開発
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15K18056
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
中島 義賢 東洋大学, 学際・融合科学研究科, 准教授 (40408993)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | μ-TAS / 電気泳動 / ゼータ電位 / ECM / 生死判定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、微量の血液を用いたアレルギー判定や希少細胞の捕獲・評価ができ、加えて、高速で、高分解能な検出が可能な分析デバイスの実現を目的としている。本年度の課題は、1)同一流路での多重分析と2)希少細胞捕獲・評価を計画した。1)に関しては、a)培養した浮遊細胞へアポトーシス導入剤を加えて細胞死を誘発させることにより、異なる生存率の細胞集団を用意し、測定サンプルとした。その生死判定(生存率)は蛍光染色・顕微鏡解析により予め測定を行った。その測定サンプルについて、私たちが提案している生化学分析システムにおいて、細胞を一つ一つ分析し、ゼータ電位とサイズを測定した。細胞状態が正常細胞・前期アポトーシス細胞・後期アポトーシス(死)細胞へと変化していく(生存率が低下していく)につれて、ゼータ電位は0(mV)方向へと移動し、またサイズも縮小していく結果が得られた。この結果から、本分析システムにより測定サンプルの細胞状態について、生死判定が可能であることを示した。その他、同一流路での赤血球/白血球の判別や赤血球表面での抗原抗体反応量の見積もりが可能であることも示した。2)に関しては、浮遊細胞が生きている場合に見られる足場への仮足形成能力を利用して、個々の細胞の生死判定が可能であることを示した。また、Si微細加工によって作られた微小領域にこの細胞を捕まえておくことが可能で、この後には、経過観察や分泌物の検証を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の課題は、1)同一流路での多重分析と2)希少細胞捕獲・評価を計画していたが、前者は、おおむね実施できた。後者においては、正常細胞の捕獲・回収にその仮足形成能力を利用したが、流路と接していない正常細胞ではその形成ができず捕獲・回収率の向上が必要。現在、そのための流路の設計・試作を実施中。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、以下の課題を検討する。 1)仮足形成能力を利用した希少細胞捕獲・評価のため流路の設計・試作し回収率を向上させる。 2)回収した細胞へ磁性ナノ材料を用いた誘導加熱を行い、熱の効果や経時変化を調べる。 3)確立したデバイス・要素技術を集積させ、SOQ基板をプラットホームとした新規生化学デバイスの試作・評価を行う。
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Causes of Carryover |
細胞捕獲率の向上に時間を必要とし、実験計画を変更したため、その次の段階で使用予定の生化学実験用試薬を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の研究では、流路の設計・試作し回収率を向上させた後、回収した細胞へ磁性ナノ材料を用いた実験、SOQ基板をプラットホームとした新規生化学デバイスの試作・評価を行う。これらの実験を行うにあたり、繰越金を当初予定した試薬の購入に当てる。
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Research Products
(2 results)