2015 Fiscal Year Research-status Report
時空間無線環境に応じた周波数利活用コグニティブ無線システムの研究
Project/Area Number |
15K18070
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
太田 真衣 福岡大学, 工学部, 助教 (20708523)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | コブニティブ無線 / スペクトラムセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、コグニティブ無線システムの環境認知技術のひとつである電力検出器を用いたセンシング法に基づき、コグニティブ無線端末が利用可能な周波数資源を時間軸方向だけでなく、周波数軸方向においても利用可能な資源量の推定を行い、送信データの特徴に応じて周波数資源を利用する効率的な周波数選択法に関する研究を行うことである。本研究では周波数共用型コグニティブ無線システムに注目しており、コグニティブ無線システムは専用の周波数帯を持ち合わせていないシステムを指し、自律的に空き周波数を検出する必要があり、この手法をセンシングと呼ぶ。このようにセンシングにより検出する最新の情報と将来得られるであろう周波数資源の推定を行う手法の確立と、複数の周波数資源候補がある際にコグニティブ無線端末がより効率的にデータ伝送できるようなチャネル選択手法の確立を目指す。 27年度の研究計画では、周波数共用型コグニティブ無線システムの特に複数システム間の共有を想定し、周波数資源の時間的・空間的な空きを推定することで、コグニティブ無線システム自身が伝送したい送信データに応じたチャネル選択を行うシステムの確立を目指す計画としていた。 しかしながら、本研究では正確な空き周波数の検出も重要技術となる。そこでまず、広域な周波数帯域に対して高速フーリエ変換(FFT)を用い、周波数成分に分解し、分離した周波数成分毎に空き周波数の検出を行うことで周波数方向の空き資源を検出する手法を用い、FFTによる電力リーケージが原因で生じる検出誤りに対し窓関数を用いて抑制する手法の検討を行った。 また、無変調信号、もしくは1シンボル内において信号検出を行う際に、より検出誤りを抑制させる手法の検討を行い、検出特性評価を行った。 これらの手法により検出誤りを抑制させることで、コグニティブ無線システムが利用できる周波数資源の拡大を見込むことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、もともと時間と周波数の連続空き資源の推定結果をもとにし、コグニティブ無線システムが選択するチャネル(周波数資源)をコグニティブ端末自身の送りたい通信データの特徴に基づき決定するアルゴリズムの特性評価をする予定であった。しかしながら、周波数軸方向の空き帯域推定時に生じる電力漏れ(リーケージ)に注目し、窓関数による性能評価や時間シフトによる電力リーケージ抑制法の特性評価を遂行したため、本来の目的に対してやや遅れているといえる。しかしながら、周波数資源を正確に検出する技術は本研究だけでなく、コグニティブ無線システムを実現する上では重要な技術となる。 したがって、次年度以降も本研究目標に取り組み、研究の遂行を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、空間的広がりを考慮した応用研究を計画している。これは、将来的にコグニティブ無線端末数がさらに増加することを想定し、より効率的に空き周波数を有効利用することを目指している。しかしながら、本年度に行う予定としていた時間的・空間的空き周波数をコグニティブ無線システムの所望伝送データの特徴量に応じて選択する手法を用いた基礎検討が途中であるため、本年度は周波数資源と所望伝送データのマッチングによるチャネル周波数選択手法の確立と、端末数が増加した場合の空間拡張方に関する検討を行うこととする。 また、今年度まで共同研究を行ってきた電気通信大学の藤井教授、信州大学の田久准教授をはじめ、本学の太郎丸教授、大橋教授と議論を行い、本研究の研究方針、技術面でのアドバイスなど賜り、本研究の遂行を行うこととしている。
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Causes of Carryover |
本年度では、米国への最新研究動向調査を予定していたが、他の予算を使用したことと、本年度行ったシミュレーションが現在所有している計算機シミュレーション用のデスクトップパソコンを用いることで代用することができたので次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレーション用計算機は次年度以降購入することとし、最新研究動向調査に関しては同じく次年度以降も行うことで本研究テーマの研究指針や研究内容に関して参考にしたいと考えている。
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