2015 Fiscal Year Research-status Report
ハッシュ関数にもとづく誤り訂正符号の構成法とその特性解析
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15K18071
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
森島 佑 鈴鹿工業高等専門学校, その他部局等, 助教 (40734132)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 誤り訂正符号 / Spinal符号 / 畳込み符号 / 誤り特性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者はこれまでに誤り訂正符号である畳込み符号について, 干渉・フェージングなどの種々の条件下における誤り特性の厳密解析法を明らかにし, 2012年にPerryらによって提案された誤り訂正符号であるSpinal符号について複雑性を低減した復号法, およびその特性をシミュレーション評価により明らかにしてきた. 次に研究代表者はこれまでに, Spinal符号に対し, スライディングウインドウ復号法やしきい値復号法による伝送効率の向上手法を提案, その特性を評価し, Spinal符号が畳込み符号と類似した構造を有している点に着目することで特性の向上が可能であることを明らかにした. そこで, 平成27年度は, 畳込み符号の復号法として用いられる逐次復号法とSpinal符号の復号法の類似性に着目し, Spinal符号の誤り検出において必須であった追加の誤り検出符号が不要となる, 信頼値にもとづいた誤り検出法を提案し, 伝送効率が向上可能となる条件を示し, これらの結果について電子情報通信学会情報理論研究会において発表を行った. また, 畳込み符号の誤り特性評価法として用いられる, シンボル間の距離分布にもとづいた誤り上界・下界による誤り特性評価法をSpinal符号に対して適用可能であることを明らかにし, 誤り率が小さな領域において生じるエラーフロアがハッシュ関数出力の衝突に起因することを示し, これらの結果について情報理論とその応用シンポジウムにて講演を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では, 平成27年度はSpinal符号の誤り特性の解析的評価法を開発し, その応用として伝送効率を解析的に評価する予定であったが, 伝送効率の解析を先送りし, 後に予定していたハッシュ関数のどのような性質が伝送効率に影響を与えるかを先に検討した. この理由は, 伝送効率を向上させるハッシュ関数の設計法を明らかにすることが本研究の最終的な目標であり, 誤り特性解析法を開発した際にエラーフロアがハッシュ出力の衝突に起因することが判明し, 伝送効率に直接的な影響を与えるハッシュ関数の性質を考慮しながら伝送効率を解析的に評価する手法を開発することでより効率的に研究を遂行できると判断したためである. 具体的には, 変調多値数, 符号器状態数, ハッシュ出力の衝突率が誤り率および伝送効率に影響することが明らかになったため, これらの要素の影響の評価しつつ伝送効率を解析的に評価する手法を開発する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の計画として, まず前年度の結果を論文としてまとめる. これと並行して当初の予定通り異なるハッシュ関数の種々の性質が特性伝送効率に与える影響を明らかにする. また, 最終年度の目標として処理能力の向上を目的とした符号化システムの設計法を開発に取り組む. 具体的には状態数を低減しつつ同程度の伝送効率を示す最尤復号が可能な符号構成法を開発し, その伝送効率の解析的評価法を開発する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主要因としては, 国際会議への参加費および旅費を予算として計上していたが, 予定していた国際会議へ参加できなかったため使用予定額を下回ったためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については国際会議への旅費および雑誌論文の掲載料として使用する予定である.
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Research Products
(3 results)