• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2015 Fiscal Year Research-status Report

メモリ素子を用いたナノ信号処理システムの検出性能向上に関する研究

Research Project

Project/Area Number 15K18074
Research InstitutionToyota Central R&D Lab., Inc.

Principal Investigator

田中 宏哉  株式会社豊田中央研究所, 戦略先端研究領域 デバイスフィジクスプログラム, 研究員 (00524646)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2017-03-31
Keywordsメモリスタ / ゆらぎ / 確率共鳴
Outline of Annual Research Achievements

本研究は,メモリ素子(メモリスタ,メムキャパシタ,メムインダクタ)に適度な「ゆらぎ」を加えることでセンサの応答を改善し,低SNR環境における信号検出性能の向上を目的とする。そのための基礎検討として,当該年度の目標をメモリ素子の特性の把握とする。
メモリ素子として,多層薄膜を用いたメムキャパシタ【J. Martinez-Rincon et al., Phys. Rev. B 81, 195430 (2010)】に着目し,その動作を解析した。メムキャパシタに交流信号とゆらぎとなる周期性信号を印加し,電圧-容量特性をシミュレーションした。周期性信号に応じてメムキャパシタの容量が増加した。以上より,メムキャパシタを用いることで,信号検出性能を向上できることを確認できた。また,メムキャパシタの物性とゆらぎの周波数が,信号増幅において重要なパラメータとなることを確認した。
なお,既報では,メモリスタを用いた信号増幅効果が報告されている。今回得られた結果から,メモリスタ以外のメモリ素子でも,ゆらぎを用いた信号の増幅が可能であることが明らかになった。また,効果的な信号増幅を得るために,入力信号に応じ,ゆらぎの周波数やメモリ素子の物性など,パラメータを調節する必要があることがわかった。これらの結果は,複数のメモリ素子を組み合わせることで,任意の入力信号に対し,効果的な信号検出回路を実現できることを示唆している。今後,車載センサなど,より現実的な使用環境での入力信号について効果的な回路構成を提案し,その効果を検証する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

H27年度の目標は,本研究の最終目標である「メモリ素子を用いた信号検出性能向上と,そのための最適な回路設計要件」に向けた,メモリ素子の基礎特性の把握である。以下に,その研究方法とその達成状況を示す。
(a) メモリ素子の応答に周期性信号を加え,信号検出性能が向上することを確認する:
メモリ素子として,多層薄膜を用いたメムキャパシタ【J. Martinez-Rincon et al., Phys. Rev. B 81, 195430 (2010)】に着目し,その動作を解析した。メムキャパシタに交流信号とゆらぎとなる周期性信号を印加し,電圧-容量特性をシミュレーションした。周期性信号に応じてメムキャパシタの容量が増加した。これより,メムキャパシタにセンサの信号とゆらぎを加えその容量を観測することで,センサ信号の検出性能を向上できることを確認した。
(b) メモリ素子の動作を把握し,応答に影響を与えるパラメータを明らかにする:
上述のシミュレーションから,ゆらぎの周波数やメモリ素子の物性などが,効果的な信号増幅を得るための重要な設計要件であることがわかった。また,これらの要件は,入力信号の特性に応じて変化することもわかった。この結果は,入力信号に対し回路構成を調節する必要があることを示している。よって,メモリ素子を用いた信号検出性能向上のためには,実際の使用環境での入力信号の特性の把握と,それらに応じた回路構成の設計が必要であることが明らかになった。

Strategy for Future Research Activity

H27年度は,回路設計要件に向けた課題の抽出を行った。H28年度は,抽出された課題に対する解決策と,最適な信号合成を達成可能な回路構成を提案する。具体的な実施項目を以下に示す。
(a) メモリ素子の動作把握:これまでに動作を把握したメモリスタ,メムキャパシタ以外のメモリ素子について,その動作を把握する。これより,候補となるメモリ素子の選定し,最適な信号検出回路の構成を提案する上での基礎資料を得る。
(b) 実際の使用環境での入力信号特性の把握:H27年度の検討より,最適な信号検出を行うために,入力信号の特性を把握する必要があることが明らかになった。ここでは実システムとして車載センサを想定し,センサから出力される信号の特性を明らかにする。これより,メモリ素子の物性や信号検出回路の構成を提案する上での基礎資料を得る。
(c) 回路構成の設計:上述の検討項目より得られる,メモリ素子の特性とセンサからの出力信号特性を基に,信号検出回路を設計する。最適な信号検出を単一のメモリ素子で実現できない可能性があるため,複数のメモリ素子を組み合わせることで,任意の入力信号に対し効果的な信号検出回路を実現する。
なお,申請時の計画では,設計の妥当性を確認するために信号処理回路の試作を予定していた。しかし,H27年度の結果から,当初予定しない実施項目(実際の使用環境での入力信号特性の把握)が生じたため,試作の実施を中止する。

Causes of Carryover

申請時の計画では,設計の妥当性を確認するために信号処理回路の試作を予定していた。しかし,H27年度の結果から申請時に予定しなかった実施項目(実際の使用環境での入力信号特性の把握)が生じ計画を修正した。計画の修正に伴い試作を中止したため,H27年度使用額を減額し,かわりにH28年度使用額を増額した。

Expenditure Plan for Carryover Budget

中止した試作に予定していた使用額を,申請時に予定しなかった実施項目(実際の使用環境での入力信号特性の把握)の費用に充当する。それ以外の使用計画について,申請時からの変更はない。

URL: 

Published: 2017-01-06  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi