2015 Fiscal Year Research-status Report
アナログASICで拓く宇宙用磁界センサの放射線シールドレス化と電界誤検出の解明
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15K18076
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
尾崎 光紀 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (70422649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アナログASIC / サーチコイル磁力計 / 放射線 / プラズマ波動観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
科学衛星搭載用サーチコイル磁力計(以下、磁界センサ)の電界誤検出の改善と宇宙環境(温度、放射線)に適応した極端な小型化の実現のため、今年度は以下の項目について検討を進めた。 1.電界誤検出の等価回路モデルより、電界誤検出の耐性に優れた磁界センサ設計の指針を得た。これにより、磁界センサのインピーダンスと磁界センサを構成する磁性体コアの電界誤検出への寄与が明らかになった。 2.独自開発した磁界センサ用低ノイズASICプリアンプを宇宙の過酷な熱環境に適応させるために、温度補償回路を組み込んだ。これにより、温度補償前は0度~+100度であった動作温度範囲を¬60度~+100度まで拡大できることを回路シミュレーションと実験の双方で確認した。また、ASICプリアンプに対し放射線(アルファ線、ガンマ線)試験を実施し、ラッチアップ及びトータルドーズ効果に対して優れた耐性を有することを確認した。 3.磁界センサ内部へASICプリアンプを配置するために、磁性体コアの形状と実効透磁率の関係について電磁界シミュレーションを用いて解析を行った。解析より、従来の1本の棒状コアを分割し、複数の棒状コアを配置することで、磁性体コアの特性劣化なく配置空間を確保できることが明らかになった。また、磁界センサの放射線シールド効果についてモンテカルロ・シミュレーションを行い、磁界センサ内部にASICプリアンプを配置することで磁界センサ自身を放射線シールドとして使用できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超小型・軽量化を図りながら宇宙用磁界センサの高信頼計測実現に向けて、低ノイズASICプリアンプの環境ロバスト性改善に関する開発研究と計測信号の厳密な校正処理に関する解析研究の両面について進展が得られている。特にASICプリアンプについては、従来のMOSトランジスタのゲートサイズに依存した低ノイズ化から、変調技術を用いることでフリッカ雑音を大幅に改善できるチョッパーアンプを試作しその評価が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
磁界センサの電界誤検出の等価回路モデルに基づき、電界シールドとASICプリアンプの最適化の検討を進める。そして研究成果を集約し、ASICプリアンプを内蔵した放射線シールドレス磁界センサを試作する。試作した放射線シールドレス磁界センサの性能評価を実施する。また、信号処理による電磁感受耐性向上についても検討し、アルゴリズムの考案と評価を行う予定である。
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Research Products
(3 results)