2016 Fiscal Year Research-status Report
長距離光ファイバ伝送路安定化による高精度キャリア分配システムの開発
Project/Area Number |
15K18082
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
和田 雅人 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 物理計測標準研究部門, 研究員 (20635817)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 光キャリア伝送 / 安定化光源 / 干渉計 / 位相同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
・1.55 μm伝送用狭線幅光源の開発 当初、波長1.55 μmの伝送用光源として狭線幅光コムに位相同期(PLL)された半導体レーザーを使用する予定で開発を進めていたが、実験室の電源ノイズにより所望の性能に到達しないことがわかった。そのため計画を変更し、ULE(Ultra-Low Expansion)光共振器にPDH(Pound-Drever-Hall)法を用いて直接ロックされた1.55 μm半導体レーザーを利用することにした。本光源のシステムを構築したが、出力部分の光ファイバが環境変動により強度雑音を受けやすいことが判明し、その改善に取り組んだ。出力部分をよりシンプルな構成とすることで強度雑音の低減に成功した。その後、光源の周波数雑音及び強度雑音のより詳細な評価に着手した。 ・中途局形成のための干渉計の評価 前年度の研究により伝送局や中途局等を構成するための光ビート干渉計の出力信号に周囲の環境変動の影響が現れることがわかった。より高い精度での伝送及び信号評価を行うため、干渉計の温調システムや防振機構を開発した。温度制御は室温において±1 mKレベルで実現可能であることを確認した。温度制御の性能は、10 mの光ファイバ中を伝播するレーザー光の位相変動から見積もった。また、新たに導入したパッシブ除振台で数Hzから100 Hzまでの振動ノイズを除去できることを確認した。安定化された長距離光ファイバ伝送路においては中途局等の雑音が顕在化する可能性があるため、より精密なシステムの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究組織の改編や実験室の移転のため、前年度の進捗が既に遅れていた。また、当初の計画の手法では光源の精度が要求値に達していなかったため、別の手段の検討及び新たなシステムの設計を行った。新たに開発したシステムの妥当性についても検証する必要が生じたため、進捗が遅れるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
ULE光共振器にロックされた半導体レーザーが伝送用光源として正常に機能することがわかった。今後は光源の性能をより詳細に評価することで光源システムの完成とする。長距離伝送のための増幅器としては双方向EDFAを予定しており、狭線幅化された光源においても所望の精度を得られることを確認する。また、中途局形成に向けた干渉計の高度化も軌道に乗ったので、開発及び評価を進めていく。最終的にはこれらのシステムを組み合わせ、高精度なキャリアを多地点に分配するための方式を実現する。
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Causes of Carryover |
開発した伝送光源が本研究を遂行するための精度を満たさなかったため、方式の変更が必要となった。また、中途局等を構成する干渉計に介入する環境の雑音が顕在化したため、雑音低減のためのシステムを新たに導入した。これらにより、当初の計画に変更が加えられており、進捗が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
開発した光源の精度を評価するための実験に必要な物品を購入する。また、干渉計の雑音を低減するための物品購入の検討を行い、必要であればそのための装置を購入する。その他、高精度キャリアを多地点に分配するための物品等を購入する。
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