2015 Fiscal Year Research-status Report
複数アンテナを用いた超広帯域無線センサによる屋内侵入者の位置推定技術の研究
Project/Area Number |
15K18083
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
中村 僚兵 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, 電気情報学群, 助教 (70735969)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超広帯域無線センサ / 侵入者検知 / 位置推定 / 複数アンテナ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は超広帯域無線(UWB:Ultra-wideband)センサによる侵入者の位置推定手法の提案を行い,その基礎的な位置推定特性の検討を行った.従来のUWBセンサによる侵入者検知では侵入者の距離情報のみしか推定できず,形成可能な監視領域が同心円状となるため家屋や部屋の形状によってはセンサの所望する監視領域の他に,例えば屋内と屋外(あるいは室内と室外)が含まれる曖昧な領域が生じ,誤警報が発生することが課題であった.そこで,本研究では上記課題を解決するために侵入者の位置を推定する手法を提案した. 研究成果としては以下の通りである.また,学術論文1件,国際会議論文1件,国内会議論文5件の成果を残した.(1)従来の無指向性送受信アンテナに加えて複数の無指向性受信アンテナを設置することで,侵入者の距離だけでなく位置を推定可能な手法を提案した.(2)提案手法の有効性を評価するために購入した電波伝搬解析ソフトウェア(RapLab-Pro)を用いて,特定の室内環境をモデル化し,当該室内環境内に侵入者を模擬した人体モデルを配置することで,侵入者に対する電波伝搬シミュレーション環境の構築を行った.(3)(2)において構築したシミュレーション環境により得られた侵入者に対する電波伝搬特性モデルを基に,(1)で提案した位置推定手法を適用し,提案手法による侵入者の位置推定精度について検討した.その結果,位置推定誤差が平均で18cmという他の位置推定センサシステムと比較しても高精度な結果が得られた.また,検討にあたって,センサの諸元(帯域幅やアンテナ配置など)についてもいくつか変化させながら検討し,これらの諸元に最適値が存在することは確認したが,最適化までは至らなかったため,次年度以降の課題としたい. 本研究成果は上記研究課題の解決に直接関係する重要な研究成果であったといえる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では,上記【研究実績の概要】において説明した提案手法のシミュレーションによる検討に加えて,所属研究機関が所有するベクトルネットワークアナライザ(VNA)による実験を予定していた.しかしながら,センサの諸元の最適化に至らなかったことから予定していた実験の実施をとりやめ,引き続きセンサの諸元の検討を実施したことで計画に対して2か月ほどの遅れが生じており,やや遅れていると判断した.しかし,VNAによる計測準備は整っているため,諸元の最適化が完了次第,着手する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り,当初の計画に対してやや遅れているため,計画を先送りしながら実施する.また,次年度は侵入者のリアルタイム位置推定実験を実施することを予定しており,計測器材の関係から所属研究機関外において実験等を実施する予定であったが,所属研究機関の研究費により計測器材の納入の目途がたったため,予定していた実験は本機関内にて実施する.そこで,以下の通り研究計画を変更することとする.(1)センサの諸元の最適化を行う.(2)(1)の結果を反映させ,提案手法の有効性についてVNAを用いて実験的に検討する.(3)提案する位置推定アルゴリズムを納入予定の計測器材へ実装し,侵入者のリアルタイム位置推定システムを構築する.
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Causes of Carryover |
研究発表における出張費用を所属研究機関の研究費にて処置したため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の推進方策に記載した内容に従い,研究を実施するが,当該研究結果を国内会議と国際会議および学術論文で報告するために,次年度の研究費を使用する予定である.さらに実験を実施する際に必要な物品(同軸ケーブルやアダプタ等)の購入にも充当する予定である.
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