2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K18092
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
森田 亮介 岐阜大学, 工学部, 助教 (00713801)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 量子化制御 / ディザリング / 暗号化通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ディザリング技術を元にした量子化入力制御理論の確立と,これを応用した暗号化手法の実現を目標としている.2年目に当たる平成28年度では,1年目で得られたsubtractive ditherに関する知見をマルチエージェントシステムに適用した.マルチエージェントシステムとは,複数のエージェントと呼ばれるサブシステムがネットワークをなし,システム全体で共通のタスクを実現するシステムである.エージェントが互いに通信を行なうことで,システムが大きくなるほど通信量が飛躍的に増大する.このため,通信の量子化,すなわち本来高解像である信号を,低解像な信号に制限することによって,システムの大型化に伴う全体の通信量の増大を抑える方法を検討した.また,subtractive ditherの枠組みの中で,量子化の際に用いるディザ信号を「鍵」ととらえ,システムを構成するエージェントに対し共通のディザ信号を与え,互いのエージェントの正当性を識別できるかどうかの検証を行なった.ここで,不正なエージェント,すなわち他のエージェントとは異なる「鍵」を持ったエージェントがシステムに含まれている場合,そのエージェントの振る舞いが,元々システムとして想定していたものと異なる様子が見られると同時に,その不正なエージェントと強く結びついている近傍のエージェントについても,不正なエージェントに影響され,正常な振る舞いとは異なることを,数値シミュレーションによって確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度ではディザリング技術の応用例として,見た目にわかりやすい例を挙げることを優先し,マルチエージェントシステムに対して適用した.しかし暗号化手法としての理論の確立が不十分であったため,明確な基準によってシステムの正当性を識別するには至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
マルチエージェントシステムのような,複数のサブシステムが相互に干渉するようなシステムにおいては,互いのシステムに印可したディザ信号が互いに影響を及ぼし合うと考えられるため,その影響がどの程度が定量的に明らかにし,ネットワークを構築するシステムに対し,不正な通信の検出を目指す.
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Causes of Carryover |
前年度からの繰越額が大きく,当該年度に購入した設備の費用がそこまで達しなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1年目,2年目までで購入した設備が,当初予定していた制御実験を実施するためには十分とはいえないため,その環境整備の費用に充てる.
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