2015 Fiscal Year Research-status Report
材料学的見地からの日本国内でのタウマサイト硫酸塩劣化に関する危険度マップの作成
Project/Area Number |
15K18099
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮本 慎太郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60709723)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タウマサイト / エトリンガイト / ジプサム / 二次鉱物 / 化学的侵食 |
Outline of Annual Research Achievements |
コンクリートに硫酸イオンが作用した場合には,エトリンガイトやジプサムの他にタウマサイトも析出することがあることが知られている.ただし,日本において,タウマサイトの析出が確認された例がほとんどなく,さらには,タウマサイトの析出メカニズムについても,詳細にはわからない点も多いため,日本におけるタウマサイト生成に起因するコンクリートの劣化に関する危険度は不明である.以上を受けて,今年度は,日本で広く使用されている材料を用いてセメント硬化体を作製し,硫酸イオンを含む溶液に浸せきする試験を実施している.作製したセメント硬化体の配合については,広く流通している普通ポルトランドセメントのみを用いたもの,普通ポルトランドセメントに炭酸カルシウムを一定量置換したもの,さらには,耐硫酸塩性を有したセメントを用いたものである.浸せき溶液については,カチオンの異なる硫酸イオン溶液とし,これら溶液の濃度に関して高低の二水準を設けている. 現在,浸せき期間が5か月であり,浸せきから3か月目の測定が終了し,結果を整理している.浸せき試験については,タウマサイトの生成には長期間を有するとの報告もあるため,今後も継続して実施する予定である.さらには,タウマサイトの生成を促進させる目的で,セメント硬化体粉末を用いた撹拌試験も来年度から実施する予定である.この試験に関しては,使用するセメント硬化体の配合および溶液の濃度は浸せき試験のものと同一とする予定であり,さらには,必要が生じた場合には他の水準についても検討していく予定である.なお,撹拌試験については今年度に予備試験を行っており,溶液量に対する粉体量などの実験パラメータについてはおおよそ決定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた浸せき試験も順調に進行しており,さらには平成28年度に実施予定の撹拌試験に関しての予備試験も順調であったため,おおむね順調に進展していると考えた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,予備試験が終了したセメント硬化体を用いた撹拌試験を実施し,促進的に結果を得る予定であり,この結果と浸せき試験の結果を合わせて,タウマサイト生成およびその他の硫酸イオンの作用に起因する二次鉱物(エトリンガイトやジプサム)の生成に起因するコンクリートの劣化に関して総合的な評価を行う予定である.
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