2016 Fiscal Year Research-status Report
分割鉄筋供試体を使用した凍結防止剤含有漏水による鉄筋腐食機構の解明
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15K18103
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Research Institution | Tomakomai National College of Technology |
Principal Investigator |
渡辺 暁央 苫小牧工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00422650)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 凍結防止剤 / 塩害 / 分割鉄筋 / 鉄筋腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
凍結防止剤を含む路面排水が橋脚等に漏水するケースを想定した鉄筋コンクリートの塩害に関する実験的研究である.コンクリート壁面の一部に漏水することにより発生する漏水部と非漏水部の境界に着目し,この境界部分に分割鉄筋を配置した実験供試体を作製した.分割鉄筋の腐食電流を無抵抗電流計にて測定し,腐食速度について評価を実施した. 分割鉄筋をかぶり10mmに配筋した供試体について,分割鉄筋上で漏水の境界になるように供試体の半分に濃度3.5%の塩水を1日流下および6日室内乾燥を繰り返す塩水流下実験を実施した.分割鉄筋の電流は,同一鉄筋要素のミクロセル電流と鉄筋要素間のマクロセル電流を測定し,鉄筋要素の表面積で除することにより腐食電流密度を算出した.ミクロセル電流密度とマクロセル電流密度を合計して総腐食電流密度を求め,腐食速度の評価を行った. 実験は,普通コンクリート供試体とある程度塩分浸透が進行した塩分混入コンクリート供試体の2醜類を作製して実施した.普通コンクリート供試体の実験では,試験期間3ヶ月段階では腐食の発生が確認されていない.一方,塩分混入コンクリートでは塩分濃度が高い部分で腐食速度が速いことが確認され,試験期間3ヶ月で鉄筋の腐食が確認された.塩分濃度が高い部分ではミクロセル腐食が,塩分濃度差がある鉄筋要素間ではマクロセル腐食が卓越している.どちらの腐食が卓越するかは,普通コンクリート供試体による結果が必要である. 次年度も継続実験を実施し,漏水境界付近の鉄筋腐食状況について検討をしていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
分割鉄筋の電流を測定する無抵抗電流計の装置を購入するのに資金的問題から2年かかり,実験の開始が遅れたことが最大の原因である.塩分浸透と鉄筋腐食の時間的見積もりが不十分で想定より腐食開始が遅いことがわかり,研究計画の修正が必要となった.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では普通コンクリート供試体による実験を行う予定であったが,腐食進行を早めるため,既往の研究で明らかになった漏水境界部の塩分浸透状況を反映した塩分混入コンクリート供試体による実験を並列的に実施した.塩分を混入したコンクリートでは既に鉄筋の腐食が進行しており,最終年度の計画にある腐食鉄筋近傍のコンクリート組織の評価は,この供試体にて実施する.また,普通コンクリート供試体では,分割鉄筋の電流測定を継続して実施し,漏水境界部の腐食速度の相違について明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
次年度に実施される学会の参加登録費として年度末に支出予定であったが,校務の都合で出席できないことがわかり,支出しなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果報告を別の学会で発表することを検討している.
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Research Products
(2 results)