2015 Fiscal Year Research-status Report
データ駆動科学を駆使した,想定地震動の集合の情報を集約した設計地震動の合成
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15K18106
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮本 崇 山梨大学, 総合研究部, 助教 (30637989)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 設計地震動 / 非線形応答 / 階層型クラスタリング |
Outline of Annual Research Achievements |
強震動シミュレーションから得られた地震動波形の集合を,各波形の性質に応じて分類するクラスタリング手法を開発した. 耐震設計上重要となる構造系に与える影響の観点から地震動の非類似度を評価し,階層型クラスタリング手法を適用した.予め最適なサブ集合分類が既知である集合に対して提案手法を適用し,最適解が得られることを確認するとともに,観測地震動記録群への適用性を検証した. 最適なサブ集合の再現については,応答スペクトル形状の異なる地震動波形の集合を提案手法によって適切に分類できることを示した.また,観測地震動群への適用性については,震源特性や伝播経路特性などの物理特性に条件を課した地震動波形群をクラスタリング対象とし,非線形10自由度系を耐震性能照査の対象構造物に設定した条件下において本手法を適用した結果,様々な部材への最大変位や履歴吸収エネルギーの影響に応じた波形群のクラスタが形成されていることが確認でき,提案手法の適用性が示された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では,1.地震動波形のサブ集合への分類,および2.サブ集合内の代表波形の合成,という2つの項目の実施を計画している.1.については,当初の計画を越え,観測地震動の分類という現実的な条件の下での適用性を検証しているが,2.については,手法開発にやや遅れが生じている.こうした状況を総合的に判断し,全体としてはおおむね計画通りの進展であるとした.
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Strategy for Future Research Activity |
地震動のサブ集合内での,代表波形の合成手法について取り組む. 当初計画していたスパース展開に加え,機械学習手法やウェーブレット変換など,複数の手法によって地震動の主要な因子抽出の手法を開発する.抽出した因子を1つの地震動波形に合成する手続きを繰り返すことにより,複数の波形の性質が反映された代表波を合成する. 提案手法により合成された波形が,耐震設計において想定地震動の集合を代表するものとなり得るか,すなわち,合成波に対して構造物の耐震安全性が確認された場合に,全ての想定地震動に対しても当該構造物の安全性が保証されるかを検証する.検証は,長大橋などの,損傷に複数のモードが関与し得る構造物を検討の対象に実施する.検証の結果を上記の機械学習のアルゴリズムにフィードバックし,代表波を合成する上でより効果的なアルゴリズムの改良を行う.
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Causes of Carryover |
国際論文誌への投稿を予定したが,次年度に投稿することとしたため,主に投稿に関わる費用を次年度使用額として計上した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文誌への投稿費用,および英文の校正費用として使用していく予定である.
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Research Products
(7 results)