2017 Fiscal Year Research-status Report
深海底地盤力学の構築に向けた間隙流体-土骨格-熱力学連成モデルの確立
Project/Area Number |
15K18115
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
野村 瞬 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 数理科学・先端技術研究分野, 技術研究員 (20705701)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地盤工学 / 構成モデル / 海底地盤 / 有限要素法 / 連成解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
深海底地盤の力学メカニズム解明に向け,特殊な環境変化を伴う地盤状態を評価できる「間隙流体-土骨格-熱力学連成手法の構築」を研究目的としている. 海底と地殻に挟まれた領域には必ず海底地盤が存在し,その領域は地球規模でみると狭く,占有率は大きくない.しかしながら自然界でみられる多くの境界部同様,多様な物理化学現象が観察される領域であり,地球ダイナミクスの解明と産業利用に大きな期待が寄せられている. 研究過程では,変形―流体浸透―物質輸送問題の連成手法の開発を進めている.既往の実験結果をもとに構築した理論の整合性を確認し,実現象の定量的な説明や,将来のマネジメント手法の提案を目標とする.地盤中の熱や流体,溶解物質が地盤内を運動する際,温度,超高圧力,濃度といった環境因子の中でそれらがどのように運動し,領域に伝播するか,質量保存則,混合体理論をもとに明らかにする手法を検討している. 加えて,海底表層地盤の変形安定問題として,未固結地盤の力学特性の把握も進めている.連続体理論をもとに,海洋との境界域に存在している構造が未発達な地盤の力学現象を流体-固体力学を援用し整理する手法も併せて検討を進めている.海底表層の土砂を巻き込みながら流動する海底乱泥流を例にとり,そのメカニズムの解明に向けて,実験水槽により作成した懸濁液を領域に注入し,土砂の運搬の様子を検討した.予備試験の段階であるが,相当量の土砂が斜面下流に運搬されることが確認され,結果の整理を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地盤変形-間隙水浸透-移流拡散現象を統合したモデルを構築し,連成現象を同時に取り扱うことのできる微分方程式群を有限要素法へ適用した.初期濃度分布が存在する試料を一軸圧縮した実験結果をもとに理論の適用性を検討した結果,圧密条件下で間隙水を絞り出され,物質移動を伴いながら試料が変形する様子を模擬することができた. また,地盤内の間隙構造を試料の粒度分布より外挿し,透水性を評価する手法を併せて検討している. 関連する国際誌に論文2編が登載され,国際学会においても関連する発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
研究のまとめとして,理論の総まとめを行う予定である.研究成果は逐次関連する論文集や,国際学会に学術論文,紀要として投稿し,適宜公表する予定である.
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Causes of Carryover |
理論の構築のための基礎理論の構築を中心に行ったため,多くの資金を必要としなかった.当初計画していた熱移動等を考慮した地盤の圧密試験試験を実施せず過去の研究データを用いて行うことになったため,想定していたサーモメータ等の装置の購入がなかった.次年度使用額は次年度の高精度計算に向けた計算機器の購入,成果を広く公表するための論文投稿料,学会参加費に充てる.
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Research Products
(5 results)