2015 Fiscal Year Research-status Report
浮体式/フラップ式波力発電装置をめぐる不規則波浪の変形モデル
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15K18119
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
猿渡 亜由未 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00563876)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海洋再生可能エネルギー / 波力発電 / 波浪スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
波力発電装置を実海域に設置する場合,発電装置と波浪との相互作用により設置サイト周辺における波浪場が変化するため,周辺の生物環境や地形への影響を予測,評価する必要がある.そこで本年度は浮体式振動水柱型波力発電装置に入射する不規則波浪の周波数スペクトルの変化について特徴化を行うことを目的として研究を行った.全長28mの二次元造波水槽内に1/50スケールの二次元発電装置模型を設置し,日本周辺海域の典型的な波浪条件に基づき決定した種々の不規則波浪条件,及び模型の設置条件のもと,水理実験を行った. 装置模型に対する波浪の透過率は低周波数の波ほど高く,反射率は高周波数の波ほど高いという一般的な浮体構造物と同様な波の応答が確認された.発電装置に最も吸収される波の周波数は喫水,即ち装置の空気室容積に依存して変化した.同一喫水条件下におけるピーク吸収周波数は波の条件に依らず一定であり,これは装置の諸元に依存して決定される共鳴周波数に対応するものと考えられる.入射波に対する透過,反射波の周波数スペクトルの変化は,入射波スペクトルのピーク周波数が装置のピーク吸収周波数よりも高い場合と低い場合とで異なる特徴が表れるなど,本研究の最終目的である波浪エネルギー発電装置に対する透過.反射波スペクトル変形予測モデルを構築する為の基本的な特徴を把握することができた. 更に本年度の研究では,波浪エネルギーと空気流エネルギーの収支についても検討を行った.波浪が装置に作用する場合,装置全面における局所的な剥離流の形成や,空気室内における渦の形成など,種々の要因によりエネルギーのロスが生じ得る.波浪条件とエネルギーロスの大きさとの関係については現在検討中であり,次年度においてより詳細な研究を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り浮体式波力発電装置に対する波浪スペクトルの変化について水理実験を通して調査を行っている.研究を行う中で渦などの形成によるエネルギーロスと波浪条件との関係についても検討する必要性が見えてきた.これについては次年度以降の研究計画に追加して継続的に研究を行っていく予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も波力発電装置周辺における波浪スペクトルの変形を予測する為のモデルを構築することを目指して研究を進めていく.2015年度の研究を行う中で,装置周辺における局所的な渦の形成に伴うエネルギーロスについても定量化を行う必要性が見えてくるなど,新たな課題が浮上した.当初2016年度はフラップ型波力発電装置に対する波浪変形について研究を行う予定ではあったが,この新たな課題を解決したのち当初の研究計画に戻る予定である.更に,これまでに得られた実験結果に対する波の理論に基づくより詳細な考察を今後加えていきたい.
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Causes of Carryover |
当初の研究計画通り,計画的に予算を執行したが,実験に用いる各種消耗品を予定よりも安く購入する事ができたため次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度に行う実験の消耗品費,更に2016年度に新たに行う予定の波の理論に基づく実験結果の裏付けの為の参考資料の購入等の為に使用し,速やかに執行する.
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