2015 Fiscal Year Research-status Report
領域気象・洪水統合モデルを用いた可能最大洪水氾濫の推定-新しい洪水リスク評価-
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15K18120
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
呉 修一 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (00646995)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 可能最大流量 / 可能最大浸水深 / 可能最大流体力 / 洪水氾濫モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は,降雨流出・洪水氾濫モデルを対象流域に適用し,可能最大洪水(Probable Maximum Flood [PMF]),可能最大浸水深(Probable Maximum Flood Inundation [PMFI]),可能最大流体力(Probable Maximum Flood Hydrodynamic Force [PMHF])を算定することで,新しい洪水ハザードマップの作成を目的としている.対象流域としては,H27年9月関東・東北豪雨で堤防決壊・洪水氾濫被害が生じた鳴瀬川水系渋井川を対象とした. 渋井川流域で9月11日に発生した洪水氾濫を対象とし,降雨流出・洪水氾濫モデルの適用することで洪水氾濫を再現した.可能最大洪水は,過去の大規模洪水から得られた最大洪水比流量包絡式を用いることで算定した.可能最大浸水深および可能最大流体力は,複数堤防決壊シナリオや複数地表面データを使用することで算定した. 以上により,平成27年関東・東北豪雨では渋井川で堤防越流は生じなかったが,可能最大洪水時では堤防を越流することが明らかとなった.また,可能最大流体力を算定した結果家屋流失や全壊が生じるほどの流体力は対象流域では生じなかった.これは流域面積の小ささ(18.6 km2)と平坦な地形に起因するものである.しかしながら,可能最大浸水深が2 mを超過する箇所が散見され,この地域に存在する家屋は極めて危険であることが明らかとなった. このように新しい洪水ハザードマップとして,可能最大流体力および可能最大浸水深を明示したハザードマップを作成することが出来,水平避難・垂直避難の判断の際に,水平避難が必要不可欠な箇所を特定することが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標は,降雨流出・洪水氾濫モデルの適用および可能最大洪水,可能最大浸水深,可能最大流体力の評価であったため,当初の予定どおり順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,初年度に算定した可能最大洪水・浸水量・流体力の不確実性を評価するため,過去および将来の気象場を領域気象モデルを用い計算するとともに,シフティング技術を適用することで可能最大降水量(PMP)を算定する.過去から将来にわたり算定された可能最大降水量を用い可能最大洪水を算定することで,更に精度の高い可能最大洪水等の算定およびハザードマップの作成を行う.
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