2016 Fiscal Year Research-status Report
時間・空間的な集積の経済を考慮した交通・立地統合モデルの開発
Project/Area Number |
15K18136
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
高山 雄貴 金沢大学, 環境デザイン学系, 准教授 (90612648)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 交通・立地統合モデル / 集積の経済 / 安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,現実的な政策評価に応用可能な,時間・空間的な集積の経済・不経済を考慮した経済理論を構築することである.そのために,既存の研究成果を以下の3段階に分けて発展させる. [phase 1] 空間・交通ネットワーク構造を含む時間的集積経済モデルを構築し,その基本特性を明らかにする. [phase 2] phase 1で構築したモデルに空間的な集積の経済を導入し,時間・空間的な集積の経済を考慮した交通・立地統合モデルを構築する.そして,分岐理論・進化ゲーム理論に基づく分析手法により,その一般的特性を明らかにする. [phase 3] 前年度までに構築したモデルを用いた現実的な都市政策の影響評価手法を確立する.そのために,パーソントリップ調査や国勢調査データと整合的な基準均衡状態を得るためのパラメータ設定方法,安定均衡状態として創発する経済活動の時空間分布の効率的な導出手法を開発する.そして,幾つかの仮想政策の効果を定量的に評価することで,この手法の有用性を確認する. 本年度は,集積の経済・不経済を考慮した交通・立地統合モデルを構築した.そして,安定均衡状態における企業・家計の立地パターンや都心の数・規模に関する基本特性を明らかにした.さらに,大規模な都市空間構造を考慮したモデルにおいて創発する安定均衡状態を効率的に導出するための分析手法も提案できた.以上の成果により,phase 2がほぼ完了し,phase 3の研究も一部進めることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた phase 2 がほぼ完了するとともに,来年度に実施予定であった phase 3 の研究の一部を進めることができた.また,phase 1に関連する成果が学術雑誌に掲載されただけでなく,phase 2の成果を論文としてまとめることもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はこれまでの研究成果に基づき,実データを用いた分析(phase 3)を実施する.その際,可能な限り多くの種類の仮想政策の効果を調べることで,構築したモデルや分析手法の有用性を検証する.なお,最終年度に実施する分析では,大量のデータ処理・大規模な数値解析が必要となる.そこで,これらを効率的に実施するために,研究補助用の謝金・数値解析環境の整備のための費用を計上する予定である.
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