2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K18138
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
葛西 誠 東京理科大学, 理工学部, 研究員 (20579792)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 交通流モデル / 単路部ボトルネック / 相互作用 / 道路ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,単路部ボトルネック現象などいくつかの未解明の問題が,個々の振る舞いが集団となったときに非自明な挙動を示す「相互作用による集合現象」に属するのではないかとの仮説を検証するために着手された.残念ながら着手から5ヶ月後研究代表者の異動のため,数値実験および室内実験の企画や予備実験の段階で廃止となったが,それまでに行った準備と,限定的ではあるものの得られた知見について報告する. 検討の題材は,(1)1次元流れとしてみなせる自動車専用道等のサグ部渋滞,(2)2次元流れとしてみなせる交差点群からなるネットワーク交通流である.前者はさらに2つの検討課題に分けられ,(1-a)単体のサグ部内における渋滞直前の状態が,磁性体のいわゆる臨界状態と同様の現象として解釈可能か,(1-b)一般にはボトルネックとなるサグ単体をモデル化の対象とするが,進行方向に連続する2つのサグ間での相互作用(例えば,上流サグはボトルネックではないが大きな車群を形成するなどの効果を発揮し,下流サグでの容量低下の一翼を担うなど)を,渋滞発生機構として考えるべきか,である. (1-b)に関しては,ドライビングシミュレータに,進行方向に連続して配置された2つのサグ(それぞれ縦断線形が異なる)を有するコースを複数個作成し予備実験を行った.なお,下流サグは実際にボトルネックとして知られる高速道路上のサグを模している.定量的な解析は本報告書作成段階で未了であるが,時間-距離図上では,下流のサグの線形が同一であっても上流のサグの線形要素が異なれば,上下いずれのサグもボトルネックとならない可能性が示唆された. (2)に関しては,仮想街路を2次元正方格子上のスピンモデルとして近似できるか検討するためマルコフ連鎖モンテカルロシミュレーションを行ない,磁化が集計密度と対応する可能性など,いくつかの解釈の可能性を示唆した.ただしいずれも今後の分析の深度化が求められる.
|
Research Products
(2 results)