2016 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation on quorum sensing-based microbiological control of MBR fouling
Project/Area Number |
15K18143
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飛野 智宏 東京大学, 環境安全研究センター, 助教 (90624916)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膜分離活性汚泥法 / ファウリング / クオラムセンシング / アシルホモセリンラクトン / 下廃水処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、新たに2基のベンチトップ膜分離活性汚泥リアクター(MBR)を設置し、実下水を原水として連続運転を行い、昨年度とは異なる条件下でのアシルホモセリンラクトン(AHL)濃度と膜ファウリングの関連について検討を進めた。AHL濃度の分析において、保存中の分解を避けるため、試料の採取後速やかに分析を行う必要があったことがAHL濃度分析における負担となっていた。そのため、AHL濃度分析用試料の保存方法の検討を行った結果、冷蔵およびpH調整を行うことによりAHLが分解されることなく最低1週間は保存可能であることが確認された。昨年度までに確立を進めた固相抽出および精密質量分析により、ベンチトップMBRから定期的に採取した汚泥上清中のAHL濃度を分析した結果、複数種のAHLを検出することができた。このことから、実処理MBR汚泥中においてもクオラムセンシングが機能している可能性が確認されたとともに、実下水を流入水とするMBR活性汚泥中のAHL濃度に関する報告は限られており、貴重なデータを得ることができたといえる。しかし、得られたデータにおいてAHL濃度と膜ファウリング速度に明確な相関は見られなかった。また、既報の文献で膜ファウリング抑制効果の見られたAHL分解酵素であるacylaseの添加についても検討を行ったが、汚泥上清中のAHL濃度および膜ファウリング速度への影響はともに観察されなかった。同様に、acylaseの添加による活性汚泥微生物叢への明確な影響は見られなかった。以上の結果から、本研究で検討できた範囲では、AHL濃度が及ぼすMBR汚泥性状や膜ファウリングへの影響は、その他運転条件等の要因と比べて小さいことが明らかとなった。
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