2016 Fiscal Year Research-status Report
物質循環を駆動する河口干潟の炭素固定機能の動態解明
Project/Area Number |
15K18146
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Research Institution | Osaka Prefecture University College of Technology |
Principal Investigator |
大谷 壮介 大阪府立大学工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60554219)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 河口干潟 / 底生生物 / 分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
河口干潟の炭素収支について,ヨシや付着藻類等の1次生産者やヤマトシジミを対象とした2次生産者に関する炭素固機能定等は明らかになりつつあるが,生物全般に関して死亡後の動態については検討されていなく,それまで炭素を固定した有機物が,有機汚濁に変換する過程について解明されていない.そこで淀川河口干潟における優占種であるヤマトシジミの死亡後の分解過程に着目して,死亡した生物の分解過程を明らかにすることを目的とした. ヤマトシジミの死亡量は7月から10月にかけて50個中33個死亡しており,生残率は34%であった.次に10月から再実験を実施して,10月以降はヤマトシジミの死亡はほとんど確認されなかった.現地で実施したヤマトシジミの身の分解実験について,身の残存率は2週間で約3%にまで減少した.また,約2日程度で身の重量は半分になっており,指数的に減少することが確認できた.なお,本実験における水温は5.49-23.35℃であり,夏季の高温期には,さらに短い時間で身の残存率は小さくなることが考えられる.一方で,室内実験における水温の変化による分解速度は実験終了時の平均残存率は10℃で25.4%,20℃で13.0%,30℃で7.3%であり,水温が高い実験系の方が分解速度は速かった.また,微生物によって身の大部分が分解されていることが確認できた.現地実験と室内実験の比較を行うことで,身の大部分が微生物によって分解されているものの流速の影響等の他の要因によって現地での身は減少していることが考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地において毎月調査を実施して,年間を通してデータの蓄積をすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
植物の枯死や生物の死亡後の分解に関して検討しており,分解に関わる酸素消費や分解量を考慮した炭素動態を検討する予定である.最終的には総合的に河口干潟の炭素固定機能の動態の解明を行う.
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Causes of Carryover |
物品費および旅費について当初予定したよりも少なく済んだことが理由と挙げられる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に現地調査と学会発表の旅費,室内実験における炭素の固定および分解実験に必要な備品・消耗品を購入する.
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