2015 Fiscal Year Research-status Report
塗膜系防水の適切な膜厚確保に向けた施工条件の最適解マトリックスの構築
Project/Area Number |
15K18159
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
石原 沙織 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (00589046)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 仕上材料 / 耐久性 / 防水 / ウレタン塗膜防水 / 膜厚 / 施工性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ウレタン塗膜防水において最も重要である、適切な膜厚を確保するための条件を、施工のしやすさも加味しながら提案することを目的としている。塗膜系の防水は、現場で液状の材料を塗り、それが硬化することで防水層を形成するため、材料の硬さや施工技能や下地の状態など、施工段階における様々な要因が完成後の膜厚に影響を及ぼす。所定の膜厚を確保できず、防水層が破断し漏水を招くことが実際に起きている一方で、よく管理された適切な施工を行った場合は、材料の耐久年数以上の年月を健全な状態で保っている事例もある。そのため本研究では、不具合をなくし、材料の性能を最大限に発揮できる施工条件を、施工のしやすさも加味しながら把握できる、最適解マトリックスの構築を最終目標としている。 当初の平成27年度の年間テーマは、施工段階の様々な要因が膜厚と施工性に及ぼす影響の把握であったが、そのテーマに則り、各条件下における防水層の物性試験と、各条件で施工した際の膜厚と施工性の把握を平成27年度に行った。前者は主に各膜厚,各希釈率の防水層に対し、疲労試験と引張試験を行い、疲労試験からは最低限必要な膜厚を明らかにし、引張試験からは希釈剤の混入が引張性能に及ぼす影響を明らかにした。また、後者は平場部と立上り部において、平場部は4種類,立上り部は3種類の施工具を用い、平場部は10段階,立上り部は6段階の粘度でそれぞれ施工実験を行った。実験中には施工性に関する官能検査を行い、実験後には膜厚の測定を行った。その結果、適切な膜厚を確保するには、適切な施工具と粘度の組み合わせがある事を明らかにし、更に施工性も考慮した場合は、その組み合わせが限定的になる事を明らかにした。すなわち、施工性も良く適切な膜厚を確保できる条件を、施工具と粘度の観点から示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験も順調に進んでおり、当初計画通りに遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、平成28年度は平成27年度で得られた実験結果を基に、各要因が膜厚と施工性に及ぼす影響を検討し、任意の条件における最良の施工条件を把握できる最適解マトリックスの構築を目指す。特に立上り部に関しては防水材の流動曲線を調べ、レオロジーの観点から施工性に及ぼす影響を明らかにする。また、施工時に施工者が感じる疲労について、施工中の施工具にかかる荷重を測定し、疲労との関係を明らかにする。これらの結果を基に、本研究で変数として取り上げた各要因ごとに膜厚と施工性の関係をまとめ、最良の施工条件を把握するための最適解マトリックスの構築を目指す。
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Research Products
(9 results)