2015 Fiscal Year Research-status Report
都市緑化設計支援のための樹木の日射遮蔽効果の可視化
Project/Area Number |
15K18169
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
熊倉 永子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (90716135)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 都市緑化 / 移動計測 / 熱環境 / 街路樹 / 日射遮蔽効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
都心部における樹木の日射遮蔽効果は、太陽位置や周辺の建物の影などによって、得られる場所は異なる。そこで初年度は、東京オリンピックのマラソンコースを中心に、オフィスや商業地区の街路に着目した。夏季通勤時の早朝において樹木の日射遮蔽効果の実態を把握するために、自転車で歩道の移動計測を行った。測定は、7月後半から10月にかけ、8時から11時の時間帯に計7回行った。時速10~15km/h程度で走行し、測定機器は、T型熱電対と高分子容量式湿度計を、小型ファンを取り付けたステンレス二重管をかぶせて使用し、六面の長短波量は、サーモパイル式日射量と既往の平均放射温度計を用いた。同時にインターバルカメラとGPS測定器で、測定位置や周辺環境の様子も記録した。 得られた知見は以下の通りである。 1)日射遮蔽物がほとんどない皇居前や外堀通りの市ヶ谷付近は温熱環境が悪く、0.5℃程度気温がほかに比べて高い傾向が見られた。 2)コース上の道路を道路方位別に6タイプに分けて、各歩道位置別に比較すると、東西道路の北側、西北西ー東南東道路の南側、北北西ー南南東の道路・南北道路・南南西ー北北東道路の西側は、ばらつきはあるものの、気温が高い傾向がある場所が多く、それぞれ方位に合わせた対策が必要であると言える。 3)各方位別に入射する日射量の分布を比較した結果、MRTを下げる対策として、皇居前や外堀通りには仮設の日よけ、東西道路の北側では街路樹による日射遮蔽、南北道路の西側では建物の影を利用した対策が有効と言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、都市における樹木の日射遮蔽モデルのデータベース化を進める予定であったが、都心部では樹木の日照条件や風環境の条件によって、剪定以外の要素によっても樹木の形態が様々であることが示唆された。従って、初年度はまず日照条件がよく、日射遮蔽効果が高いと思われる歩道の街路樹に着目し、その実態を把握することを優先した。次年度は、それらの情報も含め3次元マップ化に取り組むこととする。
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Strategy for Future Research Activity |
様々な形態的なばらつきのある都市の樹木の形状を把握することは、重要な課題ではあるが、その形態の形成に影響する要因は、剪定に加え、日照条件、風、水、土壌など多岐にわたることから、データベース化は難しい。そこで、まずは3次元マップ上に樹木の位置や樹種などの簡易な情報を載せたものを作成・公開した後、個別の樹木のデータは適宜更新をしていく方が効率的に情報が集められると考えた。そこで次年度以降は、3次元マップ化を優先して取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
インターネットを利用するなど調達方法を工夫したため、当初計画より経費の使用が節約できたことにより差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、移動計測による歩行空間の樹木の日射遮蔽効果について、ICIAP2016にて発表を予定しているため、その経費に充てることとしたい。
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