2016 Fiscal Year Research-status Report
都市緑化設計支援のための樹木の日射遮蔽効果の可視化
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15K18169
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
熊倉 永子 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (90716135)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市緑化 / 都市熱環境 / ツイート / ビッグデータ / 投稿写真 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の測定より、都心部における樹木の日射遮蔽効果は、街区の密度や太陽位置、道路方位などによって、傾向が異なることが示された。しかし、都心部における熱環境の実態と、人々が実際に暑さを感じる時間帯や場所は時々刻々と変化し、それぞれに対する対策を検討することは難しい。そこで次年度は、都市で生活する人々が実際に感じている暑さに着目し、ソーシャルネットサーキングサービスのデータを使用した都市熱環境情報マップの作成を検討し、対策が必要な箇所に対する情報の整理を行った。具体的には、Twitterに着目し、東京都の屋外で投稿された”暑さ”と”涼しさ”を表現した、位置情報付きの投稿数の変動や投稿写真の構成要素を分析した。位置情報付きツイートデータは、公開API の制限内で取得可能な中で、東京都内で投稿されたものを使用した。期間は気象庁の東京都大手町のアメダスデータにて、夏日が連続する期間を含む2015 /7 /10~8/24 とした。これらのデータを用い、GISソフトにより投稿場所や時間帯別に投稿密度が閲覧可能な可視化マップとして作成した。また、その投稿された情報の分析より、得られた知見は以下の通りである。1)投稿数は前日の日平均気温差と相関は見られるもの、天候等の他の要素の影響も受けている傾向が見られた。2)平日と休日では投稿時間帯や場所が大きく異なり、平日は主要駅やその周辺で終日、休日は観光地で日中に多く投稿されていた。3)”暑さ”や”涼しさ”を含むテキストと共に投稿された写真の被写体を分析した。その結果、同じ都心部で投稿された写真でも、暑さを表すツイートでは建物や空が写真中に閉める割合が多く、涼しさを表現したツイートでは樹木が占める割合が高く、投稿者の温冷感の意識に都市構成要素の空間形態や、その材料などの局所的な情報が影響していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、3次元都市熱環境情報マップの作成を進める予定であったが、人々が感じる”暑さ”に着目したマップの作成に取り組んだ。人々が”暑さ”を感じる場所や時間帯のマップを作成した結果、休日や平日でも異なる傾向がみられた。したがって、温熱環境形成に関わるすべての情報を整備するのではなく、”暑さ” ”涼しさ”が投稿される場所別の分析を行うことを優先し、それらの違いを表す情報をマップに追加していく方法へ方針を変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の分析より、”暑さ””涼しさ”を含むツイートがオフィス街などの似た場所で投稿される場合が見られ、投稿された写真に占める都市構成要素の割合を比較した。その結果、樹木、建物、空の割合で差がみられたことから、次年度は、それらの情報も含めた街区の分析をした上で、マップに載せるべき情報の整理を行う。また、3次元マップについては公開を見据えて、既存ソフトデータを用いることで、汎用性を高めることとする。
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