2016 Fiscal Year Research-status Report
建築系と人体系の熱・水分・空気複合移動解析に基づく住環境評価に関する研究
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15K18170
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
李 明香 九州大学, 人間環境学研究院, 助教 (00734766)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 居住環境解析 / 人体熱モデル / 不均一熱流 / 熱的快適性 / 省エネルギー / 再生可能エネルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,パッシブ/アクティブ制御した居住空間の詳細な省エネルギー・快適性能評価のために,空間・壁面の温湿度分布の解析および在室者の熱的快適性を基に室内環境制御が可能な熱環境・熱負荷解析ソフトの開発,建築系と人体系の連成解析,室内の不均一環境下における実際的な人体の温熱感の再現を目的としている。 平成28年度は,自然エネルギーおよび各種空調機の利用による省エネルギー性および空間温湿度形成などについて検討した。太陽熱利用・制御手法を検討するために,数値シミュレーションソフトTHERBの基本アルゴリズムに,より詳細な日照・日影の幾何学計算モデルを組み込むことで,壁面の温湿度分布の厳密計算が可能となった。また,在室者の熱的快適性は,人体各部位への接触熱伝導および局部気流の影響を考慮できる人体熱モデルに更新し,人体への不均一熱流の感度解析を行った。ここでは,恒温恒湿室において不均一熱流を人体に与える実験を行うことにより,計算により求められる人体生理量(皮膚温やぬれ率など)と実験により求められる心理量(温冷感,快適感,発汗感など)の関係から,空調制御方法の指針を示した。人体熱モデルへの境界条件の空間温湿度は熱環境・熱負荷解析ソフト(Mesoモデル),不均一な局部気流はCFD(Microモデル)により求めており,実環境を再現するために連成解析を行った。 建築における新たな省エネルギー手法の熱的快適性の評価として建築系と人体系の伝熱モデルを連成することにより,空調方式の違いや運転方法による在室者への影響について評価が可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,不均一環境となる居住性能について在室者の熱的快適性を含めて評価するために,様々なパッシブ/アクティブ手法による環境制御の影響について検討を行っている。各種環境制御による性能評価手法について,計算ソフトの更新や実験など,研究計画に則り遂行しており,概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までの研究に引き続き,熱環境解析手法および居住性能の評価手法の開発を行い,在室者の熱的快適性を指標として,エネルギー効率の高い空調方式および制御方法について検討する。①CDF解析により空調機の気流の影響およびゾーン間の移流量を算出,②熱環境解析および気流解析の連成解析,③空間温湿度分布および在室者の快適性の要因分析,④人体熱モデルの血流モデルの更新など,研究計画に従い進めて行く。
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