2015 Fiscal Year Research-status Report
内装材の現場施工状態の吸音特性を反映した音響リノベーション手法の開発
Project/Area Number |
15K18172
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
岡本 則子 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00452912)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | リノベーション / 吸音特性 / 現場測定 / 建築材料 / 有限要素法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「環境騒音の利用による材料の吸音特性測定法(EA法)」により現場施工状態の内装材の吸音特性を正確に計測し,その結果を「有限要素法(FEM)による音環境シミュレーション」に適用することで,現状の音響性能の把握から,吸音材の設置計画についてその適性を定量的に予測する「内装材の現場施工状態の吸音特性を反映した音響リノベーション手法の開発」を目指している.平成27年度は,研究の初年度として, 測定可能な内装材の種類の明確化およびシミュレーションの精度検証に用いる実測値(室内音響インパルス応答)の測定システム構築・試行的測定を行った. 1. 測定可能な内装材の種類の明確化:施工状態を想定して,EA法により,背後構造および表面仕上げの異なる建築材料の測定を行った.背後構造の異なる材料については,同一の表面材料(有孔板)に対し,その背後の裏打ち材の厚さや裏打ち材の設置位置の違いを,EA法により,吸音特性の差異として捉えられることを確認した.表面仕上げの異なる材料については,クロスおよびペンキによる仕上げに着目し,クロスの通気性の有無,ペンキの塗料の差異(油性または水性),ペンキの仕上げの差異(1度塗りまたは2度塗り)によって吸音特性に差異が現れることを明らかにした.また,これらの検討に付随して,板・膜振動型吸音機構の内装材への適用の可能性が示された. 2. 室内音響インパルス応答の測定システムの構築:提案手法の精度検証に用いる実測値を得るためのシステムを構築し,次年度の検討に向け,教室を対象に室内音響インパルス応答の測定を試行した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究体制も機能しており,研究実施計画書に記載した項目が概ね実施できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
有限要素法による音環境シミュレーションにEA法による内装材の吸音特性測定値を適用した音響リノベーション手法の提案およびその有効性の検証のため,以下の検討を行う予定である. 1. EA法による測定値を適用した有限要素法による音環境シミュレーション結果と実測値との比較による精度検証:居室を想定した室を対象に,まず,室内に設定した数点の受音点おける室内音響インパルス応答を実測する.続いて,EA法により内装材の吸音特性測定を実施する.測定された吸音特性を時間領域有限要素法(TDFEM)による音環境シミュレーションのパラメータとして使用し,室内音響インパルス応答を算定する.実測およびシミュレーションにより求められたインパルス応答から,それぞれ残響時間等の室内音響指標を求め,それらの比較を通して,精度に関する検討を行う. 2. 従来の手法との比較:提案手法の比較対象として,残響室法吸音率から求めた吸音特性をTDFEMによる音環境シミュレーションに適用する方法,残響室法吸音率をSabineの残響式に適用する方法,EA法の測定値をSabineの残響式に適用する方法の3種を用いる.音響改善前後の予測をそれぞれ行い,実測値との比較を通して,コストと精度の観点から,提案手法の有効性を検証する. なお,研究代表者の所属機関の変更に伴い,研究環境が変化するが,研究協力者の研究機関の大学院生に協力を仰ぐなど,研究体制を強化することで対応する予定である.
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