2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K18189
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
小菅 瑠香 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (50584471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 建築計画 / 病棟 / 高齢者 / 終末期 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
65歳以上の高齢者の死亡場所について病院・診療所が約8割を占める現代において(厚生労働省・人口動態調査)、本研究では高齢終末期患者の入院環境デザインの指針を探ることを目的としている。 研究実施計画においては、高齢者の病棟環境と生活の関連性について、多くの病棟事例の訪問調査を通して課題をまとめることを1年目の年度目標とした。年度の前半では日本医療福祉建築協会の発行する保健・医療・福祉施設建築情報シート集19年分から、病棟の平図面分析を行った。また特に9月から11月にかけて集中的に医療施設の事例見学およびヒアリング調査を行い、計8施設を訪問した。その他、医療建築の学会・研究会・セミナー等において情報の収集を行った。 研究途中ではあるがヒアリング調査の過程で、高齢者の多い病棟の特徴として、1.易感染、2.合併症の多さ、3.認知症による意思疎通の困難、4.排泄介助や汚物処理業務の増加、5.転倒転落、6.術後のせん妄の発生、7.徘徊、などの事項がとりわけ環境に関連して問題となっていることが明らかになってきた。また高齢患者の入院環境のつくりとして、介護の必要性が低いほど療養環境の快適性に配慮されやすく、認知症患者が多い場合には見守りのしやすさや、また患者の終末期には業務効率の優先度が高くなっている様子が聞かれた。 以上のような複数の医療施設におけるヒアリング調査と並行して、年度後半では環境の改善を目指した高齢者病院の使われ方について、建替え前後比較調査の準備打合せを進めた。当初の予定では建替え前の調査を初年度、建替え後の調査を次年度に計画していたが、調査対象病院の都合で、建替え前調査も次年度に行うこととなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた事例収集、平面図分析、訪問によるヒアリング調査などについて、計画通りに実行した。また環境の改善を目指した高齢者病院の使われ方について、建替え前の調査を初年度中に予定していたが、調査対象病院の都合で次年度の前半に持ち越しとなった。年度末から次年度の頭へのずれ込みであり、大きな不都合はないため、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は特定の高齢者病院において、建替え前の患者の病床利用実態調査を実施する。また病院の都合に合わせ、建替え後にも同様の調査を実施する。全国の医療施設事例のヒアリング調査についても、このまま2年目も続行する。
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Causes of Carryover |
初年度に特定の対象病院にて、建替え前の病床利用実態調査を行う予定であったが、病院の都合にて次年度に先送りとなったため。これに関係する交通費を含む調査費用が次年度に持ち越しとなった。また全国の医療施設事例の訪問ヒアリング調査についても例数を増やしたく、これも次年度に持ち越しとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
特定の対象病院にて、建替え前の病床利用実態調査につき、交通費、調査票等の印刷費、分析費、学会等への投稿費として使用する。また本年度も行った全国の医療施設事例の訪問ヒアリング調査についても例数を増やしたく、交通費として使用する。
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