2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K18189
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
小菅 瑠香 帝塚山大学, 現代生活学部, 准教授 (50584471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 病院建築 / 建築計画 / 療養病床 / 高齢患者 / 終末期 / 病棟 / デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢終末期の患者を多く抱えるわが国の医療施設において、その病棟の室構成と療養・看護・見守りの関係性を探り、機能に見合った病棟環境計画の一助となることを目的として、三年目となる平成29年度の研究を遂行した。 初年度は複数の病棟への訪問ヒアリング調査、二年目は高齢終末期患者の多い移転前のN病院にて病棟の使われ方の調査を実施し、今回、三年目は比較のために、新築移転後のN病院にて二年目と同様の調査を行った。旧病棟と新病棟の空間的違いとしては、個室率の増加や病床回りの設えなどが挙げられる。 調査期間は移転前と比較的近い時期を選び、2017年6月12日~6月25日(14日間)で行った。調査項目として、救護区分、医療区分、ADL区分(ベッド上の可動性、移乗、食事、トイレの使用)、喫食形態、排泄形態などの属性データの分析と、また転床行動(病棟内の転床、入院、退院など)およびその理由の記録を行った。 新しい医療療養病棟は旧病院同病棟からの移転であるため、1年経過しても患者属性の違いはほとんどない。既往研究にて急性期病院で研究代表者が行った同調査では、個室率の増加やトイレの近接など、移転前後での空間的違いが患者のADLを改善する効果が見られたが、高齢終末期患者の多い病棟にて、そうした患者の様態改善はほぼ見られなかった。ただしスタッフへのヒアリング調査では、個室率の上がったゆとりのある病棟環境にて、家族やスタッフの満足度が高くなっていることが挙げられた。 新旧病棟での詳細な結果の比較が終了していないため、部屋ごとの入院患者属性や転床行動の特徴について、今後はより具体的な分析を掘り下げていくこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では研究初年度に複数の療養病床の訪問ヒアリング調査に加えて、N病院の移転前調査を行うこととなっていたが、実際には病院の都合で当該調査を2年目に実施した。そのため移転後の調査の実施も3年目にずれこみ、結果の分析を十分に行うことができていない。しかし補助事業期間延長承認申請を行ったため、平成30年度には分析の継続、ヒアリング調査の追加などを行い、研究の成果をまとめていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
既に終了している建替前後のN病院の室構成と使われ方の調査結果について、より深く分析を進めていく。またここで得られた課題について、追加で高齢終末期患者が多く入院する病院の訪問ヒアリング調査を実施する。最終的には論文の形で、成果を学会にて発表したいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも移転後のN病院での調査実施が遅くなったため、まだ十分な分析が行われていない。このため追加の訪問ヒアリング調査や学会投稿が未実施であるが、次年度にて当該用途で使用される予定である。
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