2017 Fiscal Year Research-status Report
16世紀末から17世紀初頭のヴェネツィアにおける建築的介入と社会的変革
Project/Area Number |
15K18191
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
青木 香代子 日本女子大学, 家政学部, 研究員 (00597065)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イタリア / 建築史 / 都市史 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、1580年代のサン・マルコ広場における建築的介入に際し、決定権を掌握していた3人のプロクラトーリ(マルカントニオ・バルバロ、フェデリーコ・コンタリーニ、アンドレア・ドルフィン)の間で交わされた議論等を一次資料から抽出し、親教皇的立場をとる貴族たちがヴィンチェンツォ・スカモッツィの案を支持するに至った経緯を明らかにした。この調査内容は、今後、新教皇派・反教皇派双方がサン・マルコ広場の建築的介入に求めた社会的・政治的な意図を解明するうえで重要な成果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該研究初年度の遅れが影響しているためである。平成29年度の進度自体は概ね順調であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、研究の総括に向けて、これまで得られた成果をより複眼的に考察する。まず、反教皇派貴族がヴィンチェンツォ・スカモッツィを支持していたのに対して、親教皇派貴族はアントニオ・ダ・ポンテの計画を好意的であったことに着目する。そして、サン・マルコ広場だけでなく、同時代にヴェネツィアの各所でアントニオ・ダ・ポンテが関わった建築的介入を横断的にみていくことで、両派が建築に求めた象徴的意味を明らかする。
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Causes of Carryover |
当初は2回実施する予定であった現地調査が、1回となったためである。一方、最終年度にあたる次年度は1回の予定だった現地調査を2度実施する予定である。
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