2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the new images of home pursued during the housing crisis period in Germany immediately after World War I.
Project/Area Number |
15K18194
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山本 一貴 神戸大学, 工学研究科, 工学研究科研究員 (90533977)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | モダニズム / 故郷 / 家庭 / ジードルンク / 工業化 / セルフビルド / 田園都市 / 倹約 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,第一次世界大戦直後の住宅困窮期におけるドイツで住宅建設をめぐって追求された新しい郷土像を明らかにすることを目的とするもので,住宅・都市の史的展開の実態解明に対する新しい視座の獲得を目指している。立場の異なる建築家や組織が提示する理念と手法,それを基礎に応用したとされる実際の計画やその現況を分析することにより,新しい郷土像について,理念・手法の特質とその形成過程,そして建築空間像の把握を試みる。 2018年度は,昨年度に引き続き,文献資料の調査に基づく理念・方法とその形成過程の分析そして現地調査に基づく具体的な建築空間像の分析を実施するとともに,得られた知見の総合を進めた。再びドイツに渡航し,昨年度の調査なかで新しい郷土像の追求との関連性を指摘しうる議論の一端が見られた,複数の同時代の雑誌(『Die Bauwelt』,『Der Staedtebau』)を中心に,関係記事や関連文献の追加調査,収集をベルリン国立図書館及びベルリン工科大学図書館等にて行うとともに,ベルリンと周辺諸都市において住宅地の現地調査を実施した。 こうして得られた知見の総合を通じて,近代化の現実を受けとめる立場から,都市部で働く人々の生活を考慮して,できる限り都市の知覚に住宅地を開発するとともに,健康的な家庭生活を営む居心地の良い場所の意味で,都市部の住まいに「郷土」の感覚をつくり出すことが主題化されたことの実態の一端を把握することができた。 また,ドイツでの同時代の議論のヨーロッパ周辺諸国や日本への展開の観点から,研究成果の一部を発表する機会を得た。住宅地の計画理念や手法,建築の様式や思潮の日本での理解を読み解くことにより,近代化に直面する中で郷土の感覚を呼び覚ますことの議論の相対化とその地球規模の広まりにつながる展望を獲得できた。
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