2015 Fiscal Year Research-status Report
金属組織学と連続体力学の連携を目指した構成モデル研究
Project/Area Number |
15K18205
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
渡邊 育夢 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主任研究員 (20535992)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 有限要素法 / 連続体力学 / マルテンサイト変態 / 結晶塑性 / 非線形計算力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の達成目標は結晶すべりとマルテンサイト変態の2つの変形機構の連成構成モデルを定式化し,有限要素解析プログラムへ実施することである。 はじめに,米国Northwestern大学 L.C. Brinson教授と議論の下,形状記憶合金を想定したマルテンサイト変態の構成モデルの定式化と実装に取り組んだ。一般的な等方塑性モデルでは,除荷時に非凸な降伏関数となるため,数値的に不安定となることがわかり,改善策として結晶塑性構成モデルと類似に降伏関数を用いることとした。ここでは,結晶学的に定義されるベインひずみを既定変形モードとすることで,数値的不安定が生じない。結晶塑性構成モデルとほぼ同じ計算アルゴリズムを利用できるため,有限要素解析にもすぐに実装できた。 次に,結晶すべりによる変形機構を表現する結晶塑性構成モデルとマルテンサイト変態の相互作用を含む形での定式化を考えた。ここでは,ポテンシャルと構成式が微分・積分によって関連付けられる熱力学に基づいた弾塑性構成モデルの定式化方法を採用した。相互作用は相互作用行列を用いて表現することが一般的であるが,非線形塑性硬化則を採用した場合は硬化則と整合したポテンシャル関数を定義できないことがわかった。よって,非線形硬化則は自己作用として表現し,相互作用は線形モデルで表現することとした。 また,マルテンサイト変態のポテンシャル関数を計算熱力学法のギブスエネルギーデータベースと関連付けることを検討した。こちらは米国Northwestern大学 G.B. Olson教授およびW. Xiong研究員と共同研究として進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
マルテンサイト変態の構成モデルの定式化については,等方塑性を基としたモデルに計算安定性状の問題があったことから結晶塑性へ変更したことで解決した。また,次年度実施予定としていた計算熱力学法との連携について,議論を先行して進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は双晶構成モデルへの展開と熱力学データベースとの連携が実施予定の課題である。 双晶構成モデルについても結晶塑性分野において既に報告例があるので,参照の上,開発プログラムへ実装する。 また,マルテンサイト変態を結晶構造に依存した構成モデルとして定式化したため,全体を結晶構造依存のモデルとして開発することとなり,計算コストが想定以上に大きくなることは避けられない。そこで,次年度は並行して再度,等方塑性モデルを基とした定式に取り組む。 熱力学データベースとの連携は既に取り組みはじめており,引き続き米国Northwestern大学と共同研究として進める。
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Research Products
(21 results)