2015 Fiscal Year Research-status Report
高熱伝導デバイスへの応用に向けたスピン熱伝導性結晶化ガラスの作製
Project/Area Number |
15K18208
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
寺門 信明 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90466441)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 結晶化ガラス / スパッタ / ガラスファイバー / 熱マネジメント / スピン熱伝導 / SrCuO2 / 熱流制御 / レーザーパターニング |
Outline of Annual Research Achievements |
スピン熱伝導性結晶SrCuO2をベースとする新規熱マネジメント材料の開発をおこなった。SrCuO2が高密度に析出した多成分系結晶化ガラスにおいて、X線回折及び電子顕微鏡観察等を用いた構造調査によりSrCuO2析出プロセスを調べた。前駆体試料のナノスケールの不均質構造及び低酸素分圧状態での熱処理がSrCuO2析出に有効に寄与していることを明らかにした。また定常熱流法により低温域から室温における熱伝導率の温度依存性を調べた結果、結晶化ガラスの報告値としては最大となる5W/Kmの室温熱伝導率を得た。この高熱伝導性は、SrCuO2の析出による熱輸送キャリアの増大及び結晶化による熱輸送キャリアの平均自由行程の増大に起因すると考える。 上記材料の形態制御を試みた。Sr-Cu-O系のガラスファイバーを作製し結晶化処理により熱伝導率が向上することを見出した。この際、熱伝導性評価は赤外線カメラを利用した熱拡散の時空間マッピングによりおこなった。この手法は簡便で有用な方法であることがわかった。 光照射による高熱伝導路パターニングを実施した。上記材料においてレーザー照射による位置選択的なSrCuO2析出に成功した。またスパッタ法により製膜したSr-Cu-O系準安定膜においてSrCuO2のラインパターニングに成功し、レーザー光の偏光方向による熱伝導路の異方性制御の可能性を示唆する結果が得られた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SrCuO2析出結晶化ガラスの高熱伝導性を実証し、その析出・熱伝導向上機構を明らかにできた。スパッタ膜においてはレーザー光を用いた位置選択的な高熱伝導路の形成に成功した。赤外線カメラによる熱流マッピングの有用性を確認できた。以上のことから27年度の研究はおおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
熱流制御デバイスへの応用を視野に入れた研究をおこなう。具体的には、高分解能な赤外線カメラを用いた熱の可視化や、微小域の熱物性評価などを実施する予定である。
|