2015 Fiscal Year Research-status Report
異種材料界面における酸化物イオン交換特性評価と電極反応
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15K18214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兵頭 潤次 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 特任助教 (70736149)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化物界面 / 界面イオン交換 / 同位体交換法 / 二次イオン質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、固体酸化物型燃料電池などの高温作動型電気化学デバイスにおける、電解質-電極界面イオン交換特性と電極過電圧の関係を明らかにすることを目的とする研究である。本研究では、同位体酸素を用いた異種材料界面でのイオン交換特性評価手法を開発し、電気化学測定によって得られた電極過電圧と比較することで両者の関係を理論的に解析する。初年度においては、固体-固体間界面交換反応係数測定方法の最適化に重点を置き研究を遂行した。具体的には、(1)ToF-SIMSを用いた高空間分解能測定、(2)測定試料表面状態の効果、(3)粉末を用いた簡易型短時間測定手法の開発の3点に取り組んだ。いずれの実験も電解質材料にはイットリア安定化ジルコニア、電極材料にはSr添加La2NiO4を用いた。 (1)においては、四重極型二次イオン質量分析計を用いた先行研究によって得られていた酸素の拡散曲線より正確なプロファイルが得られ、測定精度の向上が確認された。 (2)については、試料表面を熱処理により緩和した試料、していない試料の2種類を評価した。熱的緩和により表面の再構築が起こり、表面エネルギーの高い未処理試料に比べ界面でのイオン交換特性が低下することが示された。 (3)においては、(1)、(2)で用いた手法では1試料あたり100-150時間の同位体交換時間を要するため、測定時間短縮を目的に検討した。簡易測定においては評価可能な温度域が限定され、特定の温度領域でのみ評価できることが分かった。 今後は当初の計画通り、電気化学測定による電極-電解質界面におけるイオン交換特性を評価しこれまでに得られている界面イオン交換反応係数と電極過電圧の関係を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りにおおむね研究を進められている。しかし、当初計画していた電解質材料の影響、イオン伝導機構の違いによる影響は検討できていないため、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は電解質材料にイットリア安定化ジルコニア、電極材料にSr添加La2NiO4を用いた電気化学測定を行う。電極には電極面積、電極厚みを正確に規定するためにレーザーアブレーション法を用いた緻密膜電極を用いて電極過電圧の計測を行う。さらに、同位体交換法について初年度検討できなかった材料の影響、温度の影響、酸素分圧の影響について検討予定である。
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Causes of Carryover |
当初の計画では測定材料を複数種行う予定であったが、現在のところ1つの試料でのみ測定している状況である。そのため、次年度に異なる電解質材料もしくは電極材料で検討する予定に計画を変更した。これにより試料合成試薬費用の一部を留保している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
同位体交換実験用試料を合成するための試薬費用として予定している。
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