2015 Fiscal Year Research-status Report
光透過性樹脂を用いた局所的なセラミックスコーティング技術の開発
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15K18224
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Research Institution | Osaka Research Institute of Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
山口 拓人 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (20530041)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | レーザ / 表面改質 / 耐摩耗性 / チタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,光透過性樹脂を用いたレーザ合金化プロセスにより,金属表面に耐摩耗性に優れた合金層を形成させることを目的とするものである.具体的には,レーザ光を透過する樹脂材料を金属基材表面に密着させた状態でレーザを照射することで,金属と樹脂の界面において樹脂の熱分解生成物と溶融金属を反応させることにより,炭化物等の硬質な皮膜の形成を目指す. 今年度はバルクチタン基材を対象として,表面に炭化チタンを形成させる試みを行った.板状の樹脂材を金属表面に固定してレーザを照射した場合には,樹脂と金属の間に空隙が存在することにより,合金層は安定して得られなかったが,樹脂を溶剤に溶解し金属表面に塗布することで密着性が向上し,安定した処理が可能となることがわかった.樹脂の材質としてPMMA(ポリメタクリル酸メチル),PVAc(ポリ酢酸ビニル),PVA(ポリビニルアルコール)を選定し,レーザ照射実験を行った.その結果,いずれの樹脂においても基材表面に合金層が形成されたことから,レーザ光を透過し,金属に密着するという条件を満たせば合金層の形成が可能であることを見出した. 合金層の分析結果から,合金層の最表面には厚さ約500nmの皮膜状の化合物と皮膜から基材内部に向けてデンドライト状に成長した化合物の形成が確認できた.この化合物は炭化チタンを主成分とした岩塩型結晶構造のものであることがわかったが,使用する樹脂の材質によって異なる格子定数を持つことから,樹脂の材質によって化合物の特性を制御できる可能性を見出すことができた. 以上の結果をもとに,次年度は合金層の硬さや耐摩耗性などの詳細な評価を実施するとともにレーザ照射条件の最適化により表面特性の向上を目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況は,概ね当初の研究実施計画どおりである.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の実験で得た合金層について,より詳細な分析および特性評価を行い,レーザ照射パラメータを調整することで,最適な処理条件を確立する. また,次年度以降予定している,鉄系基材への適用可能性について予備的な実験を行い,研究を遂行する上での課題等を早期に確認するとともに対策を検討することで,今後の実験をスムーズに実施できる状態にする.
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Causes of Carryover |
実験に使用する予定の物品は計画通り購入したが,計画していた金額と購入業者の見積額に差異があり,残額が生じたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
レーザ照射実験に使用する材料,光学部品,治具・工具類および各種評価試験に必要な機器や消耗品の購入に使用する.また研究成果の発表および最新の研究動向の調査のための学会・セミナー等への参加費用に使用する.
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Research Products
(3 results)