2015 Fiscal Year Research-status Report
表面構造と内部屈折率分布により実現する新しい反射防止ガラスの創製
Project/Area Number |
15K18228
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
酒井 大輔 北見工業大学, 工学部, 助教 (10534232)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 反射防止 / 気相堆積 / 微細構造 / ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ガラスの表面構造及び内部屈折率を制御し、従来にない反射防止ガラスの実現を目指す。これまでに申請者らが独自に発見・確立したガラス内部の屈折率制御に、新たに発見した選択的気相堆積によるガラス表面への微細構造形成を組み合わせ、表面・内部による反射防止構造を創製する。本研究では、 ・選択的な気相堆積メカニズムの解明: 選択性, 堆積可能な構造と材料 ・反射防止のための表面構造と内部屈折率分布の最適化: 理論的な表面構造及び内部屈折率分布による反射防止計算, ガラス上に実現する反射防止特性とその評価 の2点を明らかにすべき課題とした。 研究初年度となる本年度は、気相堆積に用いる放電装置の改良を実施した。従来の装置では、局所的に処理することしか出来なかったが、単軸ロボットを組み合わせることで掃引しながらガラスサンプルを放電処理することが可能となった。更に、装置の各部をモジュール化することで、電極の換装や処理温度の調整が容易となった。これらの改良により、放電処理時に問題となっていた、処理分布ムラを改善することが出来た。 これまでの実験を通し、気相堆積によりガラス上にSiO2を選択的に堆積させ、形成することのできる表面構造の傾向について、知見を得ることが出来た。また、堆積時の温度・電気特性に着目した解析を実施することにより、そのメカニズムについて推察することが出来た。これらの結果は一報の論文にまとめ、投稿することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の実施計画に基づき研究を遂行し、順調に進めることが出来た。 気相堆積装置の改良・堆積特性の評価を行うことができ、更にそのメカニズムについても明らかにできたため、当初の目標を超えることができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目以降では、初年度に明らかにした気相堆積の選択性に関するメカニズムと、堆積可能な構造高さ・分解能を基に、ガラスの表面構造・内部屈折率分布による反射防止機能の理論計算をおこなう。ガラスの表面、構造・内部構造分布による複合作用による反射防止効果については前例がなく、その形状・パターンの最適化に向けた計算を行う必要性がある。ガラス上に形成する構造周期・構造高さ、ガラス内の屈折率変調度・変調パターン、更に、入射光の角度、波長など、多くの変数を用いて、反射率を効果的に減衰するための屈折構造を計算する。 実際にガラス上に作製した反射防止構造により得られる反射防止効果を評価し、反射計算の結果と比較・フィードバックを行い、ガラスに形成する反射防止構造の最適化を進める。
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Causes of Carryover |
気相堆積に用いる放電装置の改良に必要と見積もっていた消耗品が想定よりも安価に入手することが出来たため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
反射防止構造計算用計算プログラム及び、反射防止構造形成用消耗品へと充て、研究計画遂行の促進を図る予定である。
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Research Products
(2 results)